銭形平次捕物控 057 死の矢文 / 野村胡堂
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―なア、相模屋さん、あつしはケチな植木屋、お前さんは江戸の長者番附にも載るほどの分限者だ。言はゞ提灯に釣鐘、―
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百人町の重吉は良い男でした。ガラツ八の八五郎とは無二の仲で、
押込があつたので、その足取を辿るともなく、百人町の重吉の家へ來合せた平次。大久保小町と言はれた、植木屋松五郎の
兎にも角にも小僧を走らせて、百人町の重吉を呼んだのはそれから四半刻の後。
平次は百人町の番所へ飛んで行きました。係り同心の出役はまだ。番太の老爺と
大方さうだんべい、――俺は直ぐ煙草を買ひに百人町まで行つたから、後の事は知んねえ」
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(例)日本橋業平
相模屋の若旦那新助は二十一、古い形容ですが、日本橋業平といはれる好い男の癖に、去年あたりからすつかり、大弓に凝つ
へ引取らせ、直ぐ樣親の喜兵衞に來るやうにと、日本橋の相模屋まで使の者を出させました。
「日本橋で買ひましたよ、特別上等の奉書で」
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、去年あたりからすつかり、大弓に凝つてしまつて、大久保の寮に泊り込みのまゝ、庭の※で一日暮すことの方が多くなり
木乃伊になつて、大弓に凝り始めたといふ情報が、大久保にやつてある下男の權治の口から店の方へ傳へられました
大久保の寮の留守番には、店中の道樂者茂七を置いて、出來る
相手とも師範ともなるのは、同じ大久保のツイ近所に住んでゐる浪人者佐々村佐次郎、これは二十六七、
ともなく、百人町の重吉の家へ來合せた平次。大久保小町と言はれた、植木屋松五郎の娘お駒が、稽古矢に射られて
「大久保小町と言はれたお駒さんですもの、町内の獨り者は皆んな附け廻した
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「そんな事だらうと思つたから、神田からひと飛にやつて來たよ」