銭形平次捕物控 092 金の茶釜 / 野村胡堂
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「それじゃ、川崎の大師様へお詣りに行きましょう、お供しますぜ」
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素晴らしい娘、身扮の汚なさも、髪の乱れも、江戸の真ん中では想像も出来ないひどさですが、陽に焦けた浅黒い顔の
のよさと、娘らしい健康な愛くるしさは、これも江戸の中などでは、金の草鞋で探しても見付かるような代物ではあり
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「ヘエ――、あの品川の流行ものを、親分は知らないんで」
褒美まで頂いた評判の男ですがネ、その藤六が、品川沖で網を打つと、金の茶釜が引っ掛ったんだそうで。早速
「品川の漁師町の藤六が、――親孝行で御褒美まで頂いた評判の男です
見ておかなきゃ話の種にならないから、昨日昼過ぎから品川まで行って来ましたよ」
「品川ですよ、親分」
「品川は少し遠すぎるが、事と次第によっちゃ行ってみないものでも
「品川の増屋佐五兵衛ですよ」
品川の高利貸し増屋の佐五兵衛から金でも貰って、親分の出馬を
こうなりゃみんな言ってしまいますよ、――金の茶釜は品川の海で、孝行者の藤六の網にかかった――」
場所ですが、それでも街道から見通しで、高輪からも品川からも足場の良いところ、――そこに方五間ほどの筵張り、
「それはもう親分さん。品川の沖で、藤六の網に入った時は、潮錆で少し汚れて
そこから品川の増屋までは五六町、平次は米吉に案内させて暖簾をくぐりまし
と言ったね、――あの金の茶釜は、本当に品川沖で兄さんの網に掛ったのかい」
「権八の浪太郎は帰されましたよ。あの晩は品川の茶屋で酔払って、翌る日の朝まで寝ていたんですって」
「もういちど品川へ行ってみる気はないか」
品川へ着いたのはもう午過ぎ、平次はいきなり町内の外科へ飛込み、無理に
こいつは俺が取る筋の金じゃねえ。金の茶釜を品川沖で網に掛けた、お前の取る金だ」
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「お春はときどき神田の俺の家へ遊びに来るがいい、女房が話相手ぐらいにはなる
に鼻をつまらせているガラッ八を促して、平次は神田へ向います。