江戸 下谷 品川 上野

三千両の結納は、江戸の大町人のする事にしても、少し奢りが過ぎます。

銭形平次もさすがに驚きました。江戸の街の真昼、三人も付添って行った三千両の小判が、馬の

その晩のうちに遠方へ逃げてしまったろう。三次は江戸の酒と女と賽ころに引かされて踏み止まったばかりに飼糧切りの中

「息子は馬鹿でも、親爺は下谷一番の丸持だ。上野の御用を勤めて、何万両と溜め込み、

出入りの商人の取次まで引受けて、巨万の身上を作った下谷一番の大町人でした。

「品川の大黒屋常右衛門――親分も知っていなさるでしょう」

「そんな気のきかない浅黄裏じゃない、品川では暖簾の古い酒屋ですぜ」

お関というのは、十八になったばかりだが、品川小町と言われるたいしたきりょうだ。手代の千代松と嫁合せ暖簾を分けるはずだっ

池の端の江島屋から、馬に積んで番頭と仲人夫婦が付添い品川大黒屋まで持って行って、江島屋の番頭太兵衛や、仲人の佐野屋佐吉夫妻が

に首でも縊るかも知れませんよ。それに、品川小町のお関を見ただけでも、とんだ眼の法楽だ――」

「止さないか、馬鹿野郎、――品川は縄張違いだ」

と番頭の太兵衛がついて、馬で送った三千両が品川の大黒屋に着いて、奥へ持って行って開くと、砂利になって

多勢の見る前で馬につけた三つの千両箱を、品川の大黒屋の店先で、これも多勢の手でおろされ、奥へ進んで

「品川の大黒屋の方に何かあるだろう」

平次と八五郎はそこから品川まで、三里の道を急ぎます。

、三十五六の浪人、高利の金を貸して、品川一円の憎まれ者になっている、沢屋利助の用心棒、大川原五左衛門という

品川一番と言われた大黒屋が、家業の左前になったのはツイ五六年

「番頭さん、品川の大黒屋には、怪しいのは一人もねえ、――仲人の佐野屋夫婦は

「それじゃ、池の端から品川へ行った道筋を一昨日の通り歩いてみてくれ。――どんな細かい

「行こう、八、今度は品川だ」

品川の大黒屋へ行って、昨夜家をあけた者はないか――と訊い

は馬鹿でも、親爺は下谷一番の丸持だ。上野の御用を勤めて、何万両と溜め込み、金の費い途に困って、

は釣鐘までも扱い、その上、役僧達の金融から、上野出入りの商人の取次まで引受けて、巨万の身上を作った下谷一番の

池の端の江島屋というのは、そのころ上野寛永寺の御用を勤めた、老舗の仏具店で、袈裟法衣、仏壇仏像から