銭形平次捕物控 131 駕籠の行方 / 野村胡堂
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ず、夕暮近い江戸の町をヒタヒタと急いで、芝口から宇田川町へ、浜松町へとさしかかります。
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駕籠はそんなことに構わず、夕暮近い江戸の町をヒタヒタと急いで、芝口から宇田川町へ、浜松町へとさしかかります。
トボトボと歩いて帰りましたよ。親分の前だが、江戸は広いね」
「呆れた野郎だ。一文無しで江戸の街を歩く御用聞があるものか。――いつ、どこへ飛ばなきゃ
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ガラッ八の八五郎はぼんやり日本橋の上に立っておりました。
ガラッ八の八五郎は銭形平次の前へ、前夜日本橋から芝、田町までの間に拾った南鐐、小判、飾り櫛、四文銭
「そんなタチの悪いことはしませんよ。こいつは日本橋から高輪の方へ行った駕籠の客が落したんで」
ガラッ八は長い顎をブルンと撫でるのでした。神田から日本橋へかけて、この顔を知らないものは江戸っ子のもぐりみたいなものです。
「それだけ分りゃあと一と押しだ。日本橋か芝か、ともかく、飛脚屋と町役人に聴いて、耳朶のない駕籠屋を
お袖は驚いて自分の家へ逃げ帰りました。これは日本橋通三丁目の上総屋という糸屋の一人娘で唄の文句にあるよう
十手を見せて訊くと、あの日うんと駄賃をもらって、日本橋から娘を乗せ、芝、田町四丁目まで行く約束で飛ばすと、後を跟ける
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近い江戸の町をヒタヒタと急いで、芝口から宇田川町へ、浜松町へとさしかかります。
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、それでも追っ手をゆるめず、品川へ入って、歩行新宿から南本宿まで飛びましたが、見覚えの駕籠は影も形もなく、
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あきらめ兼ねた八五郎は、それでも追っ手をゆるめず、品川へ入って、歩行新宿から南本宿まで飛びましたが、見覚えの駕籠は
「仕方がないから、品川からトボトボと歩いて帰りましたよ。親分の前だが、江戸は広い
が逃げたんで、立ち上がって改めて駕籠を追っかけると、ちょうど品川の方から逆に町駕籠が一梃飛んで来ましたよ」
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ガラッ八は長い顎をブルンと撫でるのでした。神田から日本橋へかけて、この顔を知らないものは江戸っ子のもぐりみたいなもの
驚かねエの、生垣を突き破って逃げ出すと、芝から神田まで、街角を曲るたびに、月代と顎を押えて、一目散に飛んで
「町方の御用を承る、神田の平次と申すものでございます。御用人木原様が御入用の品を持っ
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客も、少し懐ろが怪しくなったのかと思うと、京橋を渡ったところで落したのは、二分金が一枚。