本郷 牛込 光明山 駿府 江戸 浜松 小石川 秋葉山 光明村 京都 福島

れたが、――小石川ではなくて、若しや、本郷の産れではあるまいか」

「盟主は牛込に道場を構え、大名高家も及ばぬ勢威を張り、数千の門下を養う由比

遂に追い付きました。光明山の麓道、滅多に人の通りそうもないところで、ツイ五六間先を

それでは、これにて御免蒙る、――今夜のうちに駿府に向い、一日も早く江戸へ馳せ帰って、この旨を牛込の先生へ申上げる

五貫目玉、五十丁撃の大筒は間違いもなく作り上げ、駿府へ二門、江戸へ五門、京都へ二門、船積にて送り届けることと致そう」

江戸の火術

必死と追いすがりました。紙入の中の金は、多寡が江戸までの路用、――今の半十郎には大金でも、僅に十三両

中はたった十三両二分でも、あれが無くては、江戸への旅を続ける見込がありません。井上流砲術をもう一度世に出す

「どうせ私も江戸へ参ります。そのように御遠慮遊ばさずに、お伴をさして下さいまし、

あまり御一緒に参ったではございませんか、――江戸までお供をさして頂けば、私こそどんなに心強いかわかりません、女の

井上半十郎と申す。それではお言葉に甘えて、江戸までの道中雑用拝借いたす、――路用を失った上は、乞食をして

、身にも世にも替えられぬ急ぎの用事で、江戸へ馳せ向うところ、我慢や対面にこだわっては、拙者一代の孝道が相立ち

「江戸、小石川の生れ、武家には育ちましたが、仔細あって町人となった

、そのような御心配遊ばしたものでは御座いません、江戸までいらっしゃるうちに、また何んか良いこともありましょう」

「お静殿は、江戸小石川の生れと言われたが、――小石川ではなくて、若しや、

が附き纏います。大事な荷物を奪い返してくれた上、江戸までの路用を持つと言う、法外な好意を寄せてくれる女、――別

「それから、旦那様に――江戸へいらっしゃるのを断念して、江州へお帰り遊ばすよう――とも仰しゃいました

「江戸の方へいらっしゃるかと思いましたら――左へ折れて、二俣街道へ入っ

、――今夜のうちに駿府に向い、一日も早く江戸へ馳せ帰って、この旨を牛込の先生へ申上げるとしよう」

五十丁撃の大筒は間違いもなく作り上げ、駿府へ二門、江戸へ五門、京都へ二門、船積にて送り届けることと致そう」

を併せ、七門の大筒を鋳て、京、駿府、江戸の三ヶ所に事を起せば、不平の大名は風を臨んで来り加わるは

流と稲富流の伝書を持った半十郎と繁代が、江戸へ入ったのはそれから十日ばかり後のこと。御前試合が首尾よく済ん

は、赤痣の美女に賄われて、何うやら斯うやら、浜松の宿に着きました。

「江戸、小石川の生れ、武家には育ちましたが、仔細あって町人となった、―

殿は、江戸小石川の生れと言われたが、――小石川ではなくて、若しや、本郷の産れではあるまいか」

「いえ、私の生れは小石川の第六天、育ったのは遠州、――まア、そんなに私の顔を御覧

頃、此処から天龍川を遡上ったものか、右へ秋葉山の近道を辿ったものか、それとも左へ気賀へ出たものか、

は、強いてもとがめず、其儘光明村の方へ、秋葉山の近道を取って進みました。

三尺坊から秋葉山までは、たしかに女を追いましたが、それから裏山の道は、日

灯の側まで引っ立てます。その灯の漏れたのは、秋葉山の奥の奥、門桁山寄りの密林に囲まれた山の上で、人間

井上半十郎は、強いてもとがめず、其儘光明村の方へ、秋葉山の近道を取って進みました。

大筒は間違いもなく作り上げ、駿府へ二門、江戸へ五門、京都へ二門、船積にて送り届けることと致そう」

「豊家を亡ぼし、無辜の民を殺し、加藤、福島、その他の大小名を取潰した、徳川家の横暴無道、眼に余る