銭形平次捕物控 376 橋の上の女 / 野村胡堂

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江戸

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散ったが苗売の声は響かず、この上もなく江戸はのんびりしておりました。

。時鳥にも鰹にもないが、逝く春を惜しむ、江戸の風物は何んとなくうっとりします。

「江戸の金持も三代つづくとたいてい変なことになるよ、贅沢に馴れたり、遊楽

日本橋の上で、どんな奇抜な悲喜劇が行われたか、江戸の面白さは、今の人の想像も許さないことでしょう。

ば、それで良かったんで。あのきりょうで鯱鉾立ちでしょう、江戸中大騒ぎの見物でしたよ、大店の十七娘に、あれだけ恥を掻かせれ

の喜八郎は、年配の男ですが、腹の底からの江戸の町人で、こんな忌わしい事件に関係を持つ筈もなく、八五郎からいちおうの

江戸にはこう言った不思議な客もあるのでしょう、女は大して気にもし

。下足一つで人柄や懐具合を鑑定する術は、江戸の昔から、お茶屋と宿屋の姐さんの特技と言って宜いでしょう。

良材を下駄にして鞣した皮の緒をすげた、江戸でも通の通人が穿くはき物だ。あいつで土を踏んじゃもったいない、癲癇

お女郎は、下駄へ行火を仕掛けたと言う時代です。江戸の贅沢階級の人が、履物にどんな贅沢をやったか、今の人の

奈良

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頃は、気の毒なことに没落が控えている。紀文も奈良茂も、跡は残っちゃいない」

仙台

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はすぐ様そんな事まで気が付いていたのです。仙台の殿様が伽羅の下駄を履いたという時代、はるか隔っては天保年間

日本橋

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「親分、たまらねえ事があるんで、これから日本橋まで出かけますよ、いっしょに行って見ちゃ何うです」

ないでおくれ、貧乏人の日なたぼっこだ、――ところでお前は日本橋まで何をしに行くんだ、気のきいた晒し物でも出た

を見に行きゃしません、今日の午の刻に、日本橋の上に、神武以来の珍しい見世物があるんですぜ」

琴が、今日と言う日の真昼に、逆立ちをして日本橋を渡ると言うので、高札場の前から、蔵屋敷の前へ湧き立つよう

お琴と言って、たった十七ですぜ、逆立ちをして日本橋を渡って、何ういうことになります。久米の仙人が河童だったら、

冷やさせたという例もあり、十七娘が逆立ちして日本橋を渡るのも、何んかの因縁がなければなりません。

は日本橋に出初があった時、梯子乗の名人が、日本橋の上で命がけの大離れ業を演じ、江戸っ子の胆っ玉を冷やさせた

八五郎は尤もらしく語り進みます。曾ては日本橋に出初があった時、梯子乗の名人が、日本橋の上で命がけの

「日本橋通り一丁目の沢屋――親分も御存じでしょう」

、日向の縁側に腰を卸して、蜿蜒とつづきます。日本橋に逆立ちする娘の話がこんなにまでもつづくのです。明神様から遅れ

、留め役を買って出たのは、沢屋の一人娘、日本橋小町と言われた、お琴だとしたらどんなもので」

その日にも払えなかったら、この私が、ちょっとでも日本橋の欄干の上を、鯱鉾立ちをした上に渡って見せようじゃないか、

は、浅田屋の禿茶瓶だ、――そいつは面白い、日本橋の欄干を逆立ちして渡るのは、江戸開府以来の見物だろう、その言い草

、十七娘のお琴が、とうとう人身御供に上って、日本橋の欄干を逆立ちをして渡るというわけ、万一滑り落ちたらどうするだろうと

、塙保己一は根岸肥前守と日本橋でめぐり逢った世の中で、日本橋の上で、どんな奇抜な悲喜劇が行われたか、江戸の面白さは

日本橋から川の中に飛降り、塙保己一は根岸肥前守と日本橋でめぐり逢った世の中で、日本橋の上で、どんな奇抜な悲喜劇が行われた

は、日本橋の欄干で掌を短刀で縫われ、鳶の者は日本橋から川の中に飛降り、塙保己一は根岸肥前守と日本橋でめぐり逢った世の中

にくる八五郎だったのです。三ヵ月の主人公は、日本橋の欄干で掌を短刀で縫われ、鳶の者は日本橋から川の中に飛降り

渡るんだと言って、通り一丁目から門並み空家だ。日本橋の上は、押すな押すなの騒ぎ」

「それっ切りの事ですよ、今日はお琴が逆立ちで日本橋を渡るんだと言って、通り一丁目から門並み空家だ。日本橋の上

、小裾を両股に挟んで、さり気なく立った姿は、日本橋小町と言われた、眼の大きい、公卿眉、鼻の下の寸の

「時刻はよしと、沢屋の娘のお琴が、日本橋の欄干の南詰へ登りました。不断着だけれど黄八丈に赤い帯、

ものは誰でも渡れますよ。ところが、お琴に日本橋を渡らせた当の敵役の浅田屋浴平は人に顔を見られる

「日本橋の欄干は広いから、少し器用なものは誰でも渡れますよ。ところ

「まだありますよ、日本橋の欄干の真ん中で、お琴が落ちかけたわけだ。欄干の中ほどの

平次が先に立って、日本橋へ急ぎました。

、何しろあの騒ぎでございます、お嬢様が、真昼を合図に日本橋の欄干を逆立ちで渡るという噂で、店中の者は皆んな出払って

「小僧の良松は飛んだおしゃべりですよ、ここからは日本橋は近いにしても、朝早くから、今までに三度も覗いたん

ている、――お嬢さんのお琴さんが、首尾よく日本橋の欄干を渡ったら、それから何うなると思います」

たが、お嬢さんが浅田屋への申しわけに、証文通り日本橋の欄干を逆立ちをして渡ると聴いて、――そんな無理なことを

な優さ男で、ずいぶんお嬢さんと因縁も付けそうですが、日本橋を離れないことは、当日の見物に交って、八五郎も証拠立てて

近所で訊いて見ましたが、あの騒ぎの中では日本橋の真ん中で誰が通ったか、わかるわけはありませんよ」

「場所を変えて見るのだよ、日本橋の欄干の見える場所、小料理屋の二階から、浅田屋の主人は眺めて

客もあったのですから、十七娘のお琴が、日本橋を渡るのに、見物人がない方が反って不思議なくらいです。

平次は日本橋を出ると、いきなり通り二丁目の方へ進みました。

ねえ、中年過ぎの男で、そんな下駄を履くのは、日本橋ッ子か、下町の金持か、芸人衆に限ったことだ――。ところ

「用心しろ、相手は、日本橋から裏通りを選って、通り一丁目まで駆けて行く奴だ」

矢庭に沢屋を突き殺し、血だらけの匕首を拭いた手拭を日本橋の川の中へ捨てたのだ。水の中へ捨てた血は、

ます。それにしても、その頃は大江戸の真ん中の日本橋を利用する人が、何んと多かったことでしょう。