銭形平次捕物控 209 浮世絵の女 / 野村胡堂
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戰爭の前、博多の町に、かういふ設備を持つた、有名な妓樓がありました。
。客でも何んでもない、唯の旅人が、博多名物の一つとして、五圓の觀覽料を拂つて、その妖しくも
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つて、花鳥風月を友としてゐることは、當時の江戸に隱れもない事實だつたのです。
を傳へるわけに行きませんが、一言で盡せば江戸の建築術で想像し得る、一番贅澤な建物や設備を、できるだけ地味に平凡
で、吉原の大門を二度までも閉めさしたといふ江戸の遊蕩兒達の理想の人物は、一塊のボロ布のやうに、心から弔ふ
話によると、お民は相模生れの兩親と共に、江戸へ來て生活に打ち負かされ、岡場所を轉々と稼いでゐるうち丹右衞門
素人娘に眼をつけて、今から七八年前から、江戸で名うての處女を漁り始めた」
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た氣時になつて、水を渡つて響いて來る、金龍山の子刻の鐘が、身に沁みて聽えましたよ」
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「聽いたよ。今鳴つたのは、上野の辰刻(八時)だ。どんなに腹が減つてゐても
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の話ぢやありませんよ。扇屋の丹右衞門が、向島の寮で殺されたことを親分に知らせた筈ですよ」
株から店まで實弟の丹三郎に讓つて、自分は向島の白鬚に、金に飽かした宏莊な寮を營み、二人の妾
氣に入つたから、嫌ではあつたが、夕方から向島へ出かけて行きましたよ」
たが、庭男の幸助一人ぢや埒があかない上に、向島ぢや何事も手つ取り早くは來てくれませんよ。土地の御用聞
「向島からこゝまで、五里も十里もあるわけはねえ、――こいつは
向島の屋敷の寮は、大川に面して、道からはやゝ引つ込んだ
錢形平次と八五郎が向島へ着いたのは、もう巳刻(十時)を大分廻つた頃でし
扇屋丹右衞門が、向島の寮の離屋に設計した紅閨は、丁度そんな種類のもので、
平次はそのまゝ治兵衞の店を出て、向島土手を家路に向ひました。
「さア、大變、三輪の萬七親分は、向島中の人間をみんな縛りさうですよ」
やらう。縛られたのも縛られないのも、みんな向島の扇屋の寮に集めてくれ。あの晩の人數が一人も缺けちや
が、その晩酉刻(六時)少し過ぎ、平次が向島の扇屋の寮へ行つた時は、二人の妾お民とお園、下女
清吉は呑氣に秋の向島の紅葉しかけた葉櫻の土手を眺めてをります。
向島の土手を辿りながら平次は靜かに――いつもの調子でかう八五郎
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が昨夜の月見に來てゐたんださうで、ノコノコ神田へ歸つて來たのを、兎も角も現場へつれて來たつてわけさ。
「俺は神田の平次だが、お隣りのことで少し訊きたいが――」
飄々として神田へ歸る錢形平次。その洒脱にさへ見える後ろ姿を見ると、八五郎の