大阪 江戸 長崎 市ヶ谷 新宿

取立てが名人で、調法がられたといふことです。尤も大阪にゐる頃は、品玉使ひのやうな妙な祈祷で人を騙し、散々

そんなことで、江戸中の面白い噂は、自然八五郎の耳に入り、八五郎の口から、

散々金も儲けたが、所の役人にも睨まれて江戸へ逃げて來たといふことでした」

てゐるといふことだ。法印はそれを手に入れて江戸へ持ち込み、何んの仔細かは知らぬが、彦太郎を脅かして、自滅さ

寫し繪』は、後の世の幻燈で、享和年間には、江戸の寄席藝人都樂なる者が興行用に使用したことが武江年表に

猫又無道軒はそれを一臺江戸に持ち込み、最初は愚民を欺く道具にして居りましたが、後には

驗者のやうな顏をしてをりますが、もとは長崎あたりで拔け荷を扱つてゐたさうで」

素姓を調べましたが、たいしたことは知りませんね。長崎で拔け荷を扱つて、主人の市十郎と懇意になり、貸した金の

「御坊は以前、長崎に居たことがあつたさうだな」

「長崎で拔け荷を扱つたといふが、オランダ人から、寫し繪くらゐは手に

風の寫し繪は、清國の商人が持つて來て、長崎には澤山入つてゐるといふことだ。法印はそれを手に入れて

「市ヶ谷柳町の菊屋の伜彦太郎といふのが影法師が怖くて、月夜の晩など

「殺されたのは、市ヶ谷柳町の金貸しで、萬兩の身代を持つてゐると言はれる、菊屋の

精々二十七、八の與吉は、さり氣ない調子では、市ヶ谷中に響いた、菊屋の妾お袖の噂は出來なかつたので

男で、遊び好きで如才がなくて、金さへありや、新宿の大門を一と晩でも閉めて見たいといふ、のぼせた野郎で

「新宿の大門てえ奴があるか」

「新宿で勤め奉公をしてゐる時、あのお吉さんと番頭の才八どんは

曾ては菊屋の家付の娘お世乃を奪はれ、更に新宿の女郎だつたお吉を奪はれた才八は、主人市十郎が猫又法印を