銭形平次捕物控 042 庚申横町 / 野村胡堂
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「小石川の庚申横町て言や知らない者はありゃしません」
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ところで、お前の馬鹿さ加減を思い知らせるように、今晩は富坂の角の米屋に押入る、時刻まで教えてやろう、宵の酉刻から戌刻
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表裏を厳重に張り込まれ、寺の境内から、大番組屋敷、伝通院の境内を逃げ廻った揚句、真夜中過ぎまで追いつ追われつ、とうとう、金杉水道町
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「突き当りが、俳諧の宗匠で其月堂鶯谷の裏口、俳諧はからっ下手だそうですが、金があるのと、聾
「路地の突き当りの其月堂鶯谷宗匠ですよ。かなりの年でしょうが、達者なもんで」
の一軸が後ろにあるといった道具立てで、主人の鶯谷は茶色の頭巾を深々と冠り、被布を羽織ったまま、口をもぐもぐさ
内儀が大きい声で注意すると、鶯谷宗匠はあわてて茶色の頭巾を脱ぎました。様子の年寄り染みる割合には
障子を一枚見事に押倒しましたが、其月堂鶯谷宗匠は振り向いても見ません。
ガラッ八も黙ってしまいました。平次は其月堂鶯谷のことを言ってるのでしょう。
立上がったのは、大黒頭巾を耳まで冠った宗匠の鶯谷と、妾のお糸でした。
鶯谷はどこから出したか、匕首を閃かして真一文字に平次の胸倉へ、
平次は飛込んでお糸を押え、猛然として切りかかる鶯谷の匕首を除け除け、右手を懐に入れて、取り出したのは得意の
思わぬ武器にひるむ鶯谷、裏口へ逃げ路を捜すところを、手練の十手が、ピシリとその肩
兇賊「千里の虎」は、聾の俳諧師其月堂鶯谷だったのです。年はせいぜい四十七八、あんな老人になりすました非凡
は容易に出来るものでないと聞いて迷ったのさ。鶯谷は背後で俺が転んでも、障子が倒れても身動ぎもしなかったろう
「あの時俺は、鶯谷の耳の穴に、何か鼠色の光るものが、入っているのを
「蝋の詰めで耳を塞いだ時は鶯谷宗匠、それを取った時は『千里の虎』さ」
姿になって荒仕事に出かける、帰って来ると、元の鶯谷になって、また大廻りに自分の家へ帰って行ったんだ」
の身扮で出ないのがあの男の悪賢い所だ。鶯谷宗匠で大廻りに廻ってお糸の家へ来る、すぐ引抜いて『千里の
「それが鶯谷さ、一人二た役だよ。自分の家からは決して、『千里の
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「ポンポン言うぜ、少しは相手を見るがいい、神田の銭形親分だ」
から、俗用は召使の者に――と言うのを、神田の銭形平次と名乗って、押して逢って貰いました。
「私は神田の平次ですが、――ちょいと伺いたいことがあって上がりました」
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平次はその足ですぐ麹町三丁目の御典医、梅木淳庵先生のところへ飛んで行きました。