本郷 江戸 お茶の水

上、一と通り家の中を見せて貰いました。本郷きっての大地主で、幾百軒とも知れぬ家作持と言われるに

「旧いお店ですが、江戸には遠縁の御親類が二三軒。あとは木更津や、潮来にあるだけで

「男は皆んな江戸生れです。支配人も、私も、与七さんも」

の広い屋敷を構えた大地主――岡崎屋の裏庭からはお茶の水の前景をこめて富士の紫まで匂う美しい日、この情景とはおよそ相応しく

と庭に飛び降りざま、生垣を越し、往来を突っ切って、お茶の水の崖の上から、数十尺下の水へ――。それは実に