銭形平次捕物控 270 転婆娘 / 野村胡堂

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川越

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愛で乍ら――といふと洒落れて聞えますが、實は川越在の名主、庄司忠兵衞の餘儀ない頼みで、十五里の道を、ブラリ

江戸

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「此處は江戸の眞ん中ぢやねえ、武州忍、阿部豊後守樣十萬石の御城下だ、

あらゆる手を盡した末、フト思ひ付いたのは、江戸で今高名な御用聞、錢形平次親分に來て貰つて、娘の

どうぞ、親分さん、あの娘を搜して下さい、伜は江戸へ修業に出て、もう三年も家へ歸らず、私はあの娘ばかり

は不きりやうで健康な二十五六の女で、江戸で考へた下女とは縁が遠く、どちらかと言へば、小作女と言つ

「それは確かでごぜえます、江戸にも無からうと言はれたきりやうで、氣位が高かつたゐせでせ

世にも珍らしい美男です。恐らく名ある色子の末で、江戸にも居られなくなつて、田舍を廻つて歩く、敗殘の色男で

、そんなお禮なんかは要りません、あつしは貧乏だから江戸へ歸る路用だけ、五六百文あれば澤山で――」

はもう、平次は眠さうな八五郎を促して、江戸への歸り路に上りました。主人夫婦は名殘を惜んで、少なからぬ

、ホカ/\する中を赤とんぼに追はれて、二人は江戸へ歸つて行くのです。