江戸 深川 神田

たそれだけか――大層少ないではないか、――江戸でも高名な小橋屋だが」

「交ぜつ返さないで、聽いて下さいよ。深川西町から、良い新造が足袋跣足で驅けて來たんですから」

「當人に會つて、ちよいと深川西町を覗いてやつて下さいよ」

「私の伯父、小橋屋小左衞門でございます。深川西町に金貸しを渡世にしてをります」

深川西町の鬼の小左衞門、正しくは小橋屋小左衞門。中年から眼を

調べなきやなるまい。猿江町の親分には惡いが、深川西町まで行つて見るとしようか」

八五郎。若い女を仲に挾んで、神田明神下から深川西町への道々、ポツリポツリと語る女の言葉を綜合して、平次は事件

深川西町の小橋屋小左衞門はかうして長い間の蓄財生活を續け

夫の伊三郎が親から讓られた家で、そこから本所深川のお屋敷を廻つて、背負ひ小間物を商つてをります」

何彼と引出すのは容易の業ではありません。深川西町の小橋屋に着くまでに、平次が聞いた手掛りはたつたこれ

深川からの歸り、下手人の庄兵衞を猿江町の甚三に縛らせていゝ

をしながら喜ぶ八五郎。若い女を仲に挾んで、神田明神下から深川西町への道々、ポツリポツリと語る女の言葉を綜合して