萩 軽井沢 奥州 大阪 鞍馬 江戸 小日向 碓氷峠 両国

編笠で面体を隠した武士、言うまでもなくそれは、萩江鞍馬の世を忍ぶ姿でしょう。

であろう。――併し、もう大丈夫、及ばず乍ら、この萩江鞍馬がお力になって、山の中から、街の中から、好み

西国の浪人、萩江鞍馬、それ以上は申上げようも無い。軽井沢でお鳥殿の父上にお目にかかり、此店先に掛けてあった

「五年前――、祿を離れて、軽井沢の猟師、三五郎と言う者の家に厄介になって居る時、フトした

、当時はそれを惧れ憚って、三五郎の親の代に軽井沢に引込み、山狩りを生業に細々と暮して居りましたが、何んの因果

、東海道は申すに及ばず、京へも大阪へも、奥州までも経廻りました」

中仙道から、北陸、東海道は申すに及ばず、京へも大阪へも、奥州までも経廻りました」

「萩江――鞍馬――知らないねえ」

萩江鞍馬は、分別もなく、一行の後を追いました。

人の家へ忍び込み度くはねえが、二年振りで江戸へ帰って来ると、矢も楯もたまらず姉御に逢い度くなった

言う郷太郎の言葉に反いて、弟分の源吉が、久し振りに江戸へ帰って来ると、浪人者――萩江鞍馬に頼まれた用事を口実

「ハイ、あの軽業一座の源吉が、久し振りで江戸へ帰って、皆んなの代りに逢いに来てくれたので御座います」

様子――、赤い髪と、碧い眼が、天明年間の江戸の街には、あまりに目立って、頭巾を冠る期節でもなければ、

にあこがれの旅を続けた末、フトしたことから、江戸で一座にめぐり逢い、お鳥は、旗本安城郷太郎の妾になって居ることまで

に拾わせた上、夜になるのを待ち兼ねて、小日向の邸の中に潜り込んだのでした。

物心付いたのは、碓氷峠の奥、めったに人も通わぬ炭焼小屋で、岩吉という、山猿のよう

れた軽業の一座が、安泊りに入る路用もなく、碓氷峠の出口に、古幟を天幕にして、馴れた野宿をして居りまし

「こんな窮屈なところに居るより、私は矢張り碓氷峠へ帰って、裸体で暮らしましょう。お友達だった猿や鹿が、まだ何

「ところで姐御、ツイ二三日前、両国の小屋へ、変な人が訪ねて来た」