銭形平次捕物控 071 平次屠蘇機嫌 / 野村胡堂
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れて心配いたした。元日といふ約束であつたが、箱根の關所で手間取つて、今日漸く江戸へ入つた始末ぢや」
が殺されて大金を取られ、十月七日は、箱根で一人旅の女が身ぐるみ剥がれて居ります」
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から、それを呑んで寢てしまへ。俺はこれから八丁堀へ行つて、明日の朝迎ひに來る」
平次は笹野新三郎と打合せて、八丁堀を繰出したのは曉の寅刻。霜を踏んで倉賀屋から、『さざなみ
道具屋の一隊は、石原の利助の子分を先鋒とする、八丁堀の組子に十重二十重に取圍まれ、多勢の怪我人まで拵へて、盡く
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が旅人を脅かし、九月十七日には飛んで鈴鹿峠で大阪の町人夫妻が殺されて大金を取られ、十月七日は、箱根で
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「それが、その、江戸へ出たばかりで、知合が無いからと言ふお話で、その代り敷金を
あつたが、箱根の關所で手間取つて、今日漸く江戸へ入つた始末ぢや」
者殆んど全部、十五六人にもなりましたが、江戸の老賊、『暗がりの總七』だけは居なかつたといふことです。
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拵へて、盡く召捕りになりました。その中には東海道荒しの僞虚無僧二人、木曾荒しの女泥棒、その他五街道の惡者
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。神妙に後を跟けて行くと、龜戸へ行つて、深川へ廻つて、それから永代を渡つて又此方へ戻るぢやありませんか
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の形で、漸く平次を外に伴れ出したガラツ八、日本橋を越してホツとしました。
「それで宜い、江戸橋と、日本橋の御高札場と、萬町と、青物町と、二丁目の河岸つ端
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神田が近くなると、平次の態度は、俄然變つたのです。
この失敗は事件のクライマツクスでした。萎れ返るガラツ八を連れて神田の家へ引揚げて來た平次は、それから四五日、物も言はず
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て、八幡樣へ行つて同じことをして、それから永代橋の欄干の裏へ何んか細工をして」