銭形平次捕物控 111 火遁の術 / 野村胡堂
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「下手人は門前町の文七に違ひありませんよ、親分。あの日道灌山へ行つてゐた
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「不動樣で思ひ出したが、今日は道灌山に東海坊が火伏せの行をする日ですよ。大變な評判だ、行つ
「有難てえ。今日の道灌山はうんと人出があるから、何んか面白いことがあるやうな氣がして
道灌山へ平次と八五郎が向つたのは、悠々と晝飯を濟ましてから
早い江戸の町人を救ふと觸れさせ、人家に遠い道灌山を選んで、火行の壇を築かせました。九尺四方白木の道場
に移り、メラメラと袈裟を嘗め上がる樣子が、折から暮れ行く道灌山の草原の上に灰色の空を背景にして、あまりにもまざ/
あ、一寸待つた八。それからもう一つ、あの日道灌山へ、大徳屋徳兵衞は夏羽織を着て來なかつたか、それを訊いて
は門前町の文七に違ひありませんよ、親分。あの日道灌山へ行つてゐたことは皆んな知つてゐるし、護摩壇の下に拔け
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東海坊といふのは、その頃何處からともなく江戸に現はれた修驗者で、四十五六の魁偉な男でしたが、
東海坊の法力で、一番江戸の町人を驚かしたのは、如何なる難病も癒らぬことはないと言はれた
その日東海坊は火伏せの行を修して、火事早い江戸の町人を救ふと觸れさせ、人家に遠い道灌山を選んで、火
癒らなかつた。嫁入りも婿取りも諦らめて居ると、江戸で五番とは下らぬ大町人室町の清水屋總兵衞の伜總太郎が
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「谷中の堂へ引揚げようか、此處ぢや調べもなるめえ」
「谷中へ引揚げた時はそれを着て居なかつたね」
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代――世話人と呼ばれて居るのは二人、一人は下谷一番と言はれた油屋で、大徳屋徳兵衞。もう一人はこの堂を
病氣は治つたが、それから東海坊にだまされて、下谷一番といふ身上の半分は痛めたらうと言はれる大徳屋徳兵衞は、言
「お靜、羽織を出してくれ。一寸下谷まで行つて來る」
何時にもなく羽織を引つかけた平次、それから下谷一圓を廻つて髮結床、湯屋、町醫者と、根氣よく訪ねました
平次は疲れた樣子もなく、ガラツ八を伴れてまた下谷へ取つて返したのです。
平次が訪ねて行つたのは、下谷一番と言はれた、油屋の大徳屋でした。
てゐると言つて貰ひ度い。――大徳屋の一人娘下谷小町と言はれたお菊さんは、父親の手一つで育つたが
「大徳屋さん。――あつしは下谷中を驅け廻つて、七日の間にこれだけの事を搜り
三百兩、五百兩と、鰻上りに口止め料を取られ、下谷一番の油屋と言はれた大徳屋の身上も、この儘で行つては年
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深いのは癒らないとされて居ります。例へば御徒町の伊勢屋の利八さん、これは喘息がどうしても治らず、先達樣