銭形平次捕物控 314 美少年国 / 野村胡堂

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地名一覧

清水寺

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―それね、八五郎親分も笑つてるでせう。清水寺の清玄見たいで、私はあんな人は大嫌ひ」

千駄木

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「嫌になるなア、あつしの行つたのは千駄木ですよ。尤もそれから谷中三崎町で引留められて、三日三晩の責苦に

「八五郎親分が來てゐるでせう、千駄木から急の使ひですよ。螢澤の鈴川樣のところに、大變な

留守中、八五郎たつた一人。千駄木から谷中三崎町あたりを調べましたが、八五郎一人では一向に埒があき

「八、千駄木の鈴川家の一件はどうなつた」

「知れたこと、久し振りに千駄木の鈴川家を覗いて見るよ。佐野松殺しの下手人も、まだ擧がら

「御主人はどういふわけで、千駄木の淋しいところに引込んだか――御内儀だかお妾だつたか知らない

千駄木から戻つて來ると、女房のお靜を走らせて、三合ばかり買は

八丁堀

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つたぢやないか。その晩八五郎は、俺と一緒に八丁堀へ行つて、夜更けに神田へ歸り、明神下の俺の家へ泊つた筈

前の十月一日、江戸は大雨で、あつしと親分と八丁堀の組屋敷へ行つた――なんて、ありや大嘘ですね」

を兩國橋で助けたのも嘘なら、江戸は大雨、八丁堀で呑んだのも嘘ですね」

大木戸

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いつもは大木戸まで迎ひに來てくれる八五郎が、明神下の平次の家の、路地

天城山

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ですが、何んと、南部駒のやうに強健で、天城山から生捕つた、野猪のやうに野蠻な八五郎ではありませんか。

金山

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「其處まではわかりませんよ。いづれ筋の良い金山でも持つてゐるんでせうよ」

湯島

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刷いたやうなガツチリした美少年でした。芝居の色子や湯島、芳町の陰間にも、こんなすぐれた美少年は見當らないでせう。それ

正燈寺

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吹いてをりましたが、江戸の紅葉はもう色づいて、正燈寺も海曇寺も疎らながら客を引きつけ、上野から谷中への道も、何

凉し過ぎるが、良い日和ぢやありませんか。これから直ぐ正燈寺へのして、刷毛序に仲町を覗きたいくらゐのもので」

江戸

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てゐると、十月近くなつて、或る朝のこと、江戸の空は拭つたやうに晴れて、もう一度夏が來たやうな素晴らしい

「そんな罰の當つた野郎もゐるんですね。この江戸といふところには」

、御家元に義理を立て、舊藩にも憚つて、江戸の場末に隱れました。御退身の時の御手當てがあつた爲

「おつと、それは逃げ口上だ。廣い江戸の中を、お前の化粧道具の中から牡丹刷毛を盜つて、縁もゆかり

「三年前の十月一日、江戸は大雨で、あつしと親分と八丁堀の組屋敷へ行つた――なんて、ありや

あつしがお葉を兩國橋で助けたのも嘘なら、江戸は大雨、八丁堀で呑んだのも嘘ですね」

「錢形の平次とか何んとか、江戸の町人どもは大層なことに言ふけれど、いざとなれば、小盜人ほどの

その翌る日は、薄寒い風が吹いてをりましたが、江戸の紅葉はもう色づいて、正燈寺も海曇寺も疎らながら客を引きつけ

主水もこれ以上は諦めるだらうし、猪之松も當分江戸へは歸るまい。お葉はうんと脅かして置いたから、當分は千駄木を鬼門

甲州

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「待つてくれ、八。俺はたつたいま甲州から歸つたばかりだぜ」

東海道

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「そいつは青山のお侍でせう。こつちは東海道鈴川の宿の鈴川で三十四、五の御浪人だが、良い男です

甲府

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翌る日、平次は、與力笹野新三郎の御供をして、甲府へ出かけてしまひました。御用金の間違ひがあつて、勘定奉行御差遣はし

「またお邪魔をいたします。私も漸く甲府の旅から戻りましたので、新規卷き直しで、佐野松さん殺し

た筈です。それがほんの一寸の間――私が甲府へ行つて來る間に、皆んな塞がつてしまひました。誰がそんな細工

水戸

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言ふのです。道は千駄木から藍染川に沿つて、水戸樣のお下屋敷の裏へ出るところ、木立が濃くなつて、遠く不忍の

神田

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「お女將さんはゐるだらうな、神田の平次が來たと言つてくれ」

八五郎は、俺と一緒に八丁堀へ行つて、夜更けに神田へ歸り、明神下の俺の家へ泊つた筈だ。なア、八、

で一杯呑んで、夜遲くなつてから、フラフラと神田へ戻つたぢやありませんか。良い秋日和で」

十二日目で、神田明神下の自分の家の六疊に旅裝を脱いで、女房のお

神田明神下に歸る途々、八五郎は平次に絡むのでした。

上野

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、正燈寺も海曇寺も疎らながら客を引きつけ、上野から谷中への道も、何んとなく賑やかでした。