八丁堀 江戸 四谷 品川 神田

親分も貧乏なら、子分も貧乏でした。八丁堀の旦那方をはじめ、江戸の岡っ引の大部分が、付け届けと役得で、要領よく

なら、子分も貧乏でした。八丁堀の旦那方をはじめ、江戸の岡っ引の大部分が、付け届けと役得で、要領よく贅沢に暮している中に

した方が――といった考え方は、善悪はともかく江戸の町人のそれは常識だったのです。

「江戸に鎌鼬はいないよ」

「自慢でしたよ。娘のころ江戸のお屋敷で長刀のひと手、柔術から小太刀まで教わり、家中でも評判の

「筋だけ運んじゃ木戸銭になりませんよ。四谷は遠い、ゆっくり聴いて下さいよ」

「何を大騒動するんだ。まるで四谷の伊賀町の路地へウワバミでも出たようじゃないか」

のは、山の手一番の色娘に、もとを洗えば品川で勤めをしていたという、凄い年増ですよ。曲者は綺麗な

女房で、お滝という凄いのがいる。こいつはもと品川で勤めをしていた三十女で、以前は武家の出だという

品川の女郎上がりのお滝――恥も外聞もとうの昔に摺りきらしてしまっ

でメソメソするようなお人柄じゃねえよ。年が明けて品川から駆け込んだのは三年前だ。お互によくも辛抱したもの

母一人娘一人でたいそう苦労をした揚句、親孝行のために品川へ身売りをしたんだ――と言いましたが、嘘を吐きゃがれ

「じゃ、黙って俺は神田へ帰るばかりだ」