江戸 銀座 千住 隅田川

江戸の閑人の好奇心は、途方もないところまで發展しました。落首と惡刷り

信州の山の中に隱れてゐたのが、この正月江戸へ出て來ると、たつた三月の間に、氣の早い江戸つ兒

て來ると、たつた三月の間に、氣の早い江戸つ兒を、すつかり捕虜にして了ひ、最初は町々の寄席を歩いて居り

ただけ、閏月を控へて、お祭騷ぎの好きな江戸つ兒達は、花を待つのがもどかしさうでした。

た見世物小屋の方へ行きました。町は晝下がり、江戸見物の群衆と、折助、中間、閑さうなやくざ者、道草を喰ふ中僧

たけきばかりの美しさに平次も膽をつぶしました。江戸の娘、何んの某といふ中にも、これほどのは滅多にある

まで降つたのと、薄寒い日が續いたので、江戸の景氣も一向に引立ちません。その上、藥研堀の與三郎殺しが燻ぶつ

も理窟はありますよ。栗唐一座が田舍廻りから江戸へ入る前、千住で小屋を掛けて、かなり長い間興行して居たさう

玉一本で稼ぎため、去年漸く多年の願望が成つて江戸へ入つたといふのです。

旅の興行師に賣つたが、その娘が戀しくなつて江戸へ出たのだ。最初俺に逢ひさへすれば何んとかなつたの

、お靜が無暗に肩を持つて、よく仕込んで、江戸で良いところへ嫁にやり度いと言つて居るから、そのうちに此處

とも、天女の舞ひとも觀たのでせう。銀座を歩けば、コケツテイシユな女の大群に逢ふやうな今日と違つて、

よ。栗唐一座が田舍廻りから江戸へ入る前、千住で小屋を掛けて、かなり長い間興行して居たさうですが、その

は兩國に向ひました。往來はもう春の人通り、隅田川も温んで、カモメがゆら／＼と飛んで居ります。