銭形平次捕物控 225 女護の島異変 / 野村胡堂
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嚴島にお詣りして、京、大阪を見物して、善光寺樣へ廻つて歸ることにしたと、――斯う言ふ手紙が、駿府から
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せがんだ前に、夜中に井戸へ大石を投げ込まれたり、石見銀山が味噌汁へ入つてゐたり、隨分氣味のよくねえことが續いたさうです」
「その味噌汁の石見銀山を誰が見付けたんだ」
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金毘羅樣に廻つて、嚴島にお詣りして、京、大阪を見物して、善光寺樣へ廻つて歸ることにしたと、――斯う
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つて歸ることにしたと、――斯う言ふ手紙が、駿府から飛脚便で着きましたよ。家を出るとき、そんな長旅の目論見を漏
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「そんな變なのが江戸の眞ん中にあるのか」
その頃の江戸は、町家は言ふまでもなく、武家でも内風呂を持つてゐるのはたいした
、風呂は全く御馳走の一つに相違なく、浮世風呂が江戸名物の一つになつたのは、三馬、一九時代、即ち化政度から天保
八五郎は江戸の娘が根絶やしになりさうなことを言ふのでした。
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に、路用もふんだんにあることだし、親の骨を高野山に納めたら、讃岐の金毘羅樣に廻つて、嚴島にお詣りして、京
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ありませんよ。あつしに來てくれといふのは、市ヶ谷で評判のたけえ女護の島」
「何んだそれは? 市ヶ谷八幡樣の巫女の宿でもあるのか」
持つて、裏口から井戸端を覗いた樣でしたが、いきなり市ヶ谷中に響き渡るやうな、野放圖な聲で、
まで連れて、上總屋へ乘込んで來たのは、市ヶ谷の喜三郎といふ、中年者の良い御用聞でした。
「おや、市ヶ谷の親分」
市ヶ谷の喜三郎はニヤリニヤリとしてゐるのです。
市ヶ谷の喜三郎は、眞つ四角な顏を、脂と得意さに上氣さ
「その下手人といふのは誰だえ、市ヶ谷の親分」
甚だ怪しく、一杯飮んで寢てしまつたでは、市ヶ谷の喜三郎は言ふまでもなく、八五郎さへも納得させられません。
女護の島と言はれた市ヶ谷の上總屋に、續け樣に起つた、二つの怪事件、―
、八五郎がモヤモヤしてゐるうちに、土地の御用聞市ヶ谷の喜三郎が乘込んで來て、建具屋の金次を擧げて行つてしまひ
「その市ヶ谷の喜三郎親分が擧げた、建具屋の金次とやらが本當の下手人で
で井戸端へ縛つたのは誰の仕業だ――と市ヶ谷の喜三郎に言ふんだ」
市ヶ谷の喜三郎は、まだ其處に粘つて、證據堅めをしてゐるのでした
「おや、これは違つて居るぜ、市ヶ谷の親分」
「市ヶ谷の親分、ちよいとやつて見てくれ。あいつは俺の力ぢや外れさうも
、この雨戸はとても外れず、四枚一連の戸は、市ヶ谷中響き渡るやうな音を立てて、ガタピシするだけのことです。
、十手捕繩も物の數とは思はぬ態度が、市ヶ谷の喜三郎は言ふまでもなく、八五郎にまでも焦躁を感じさせます。
た。上總屋のお紋殺しは容易に擧がらず、市ヶ谷の喜三郎は焦れ込んで、市五郎を縛つたり、庄吉を縛つたり、手
そんな話を聽きながら平次と八五郎は市ヶ谷の上總屋へ飛んだのです。
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遊び好きで、自分の家にぢつとしてはゐられず、新宿あたりまで伸し歩いて、馴染の女の格子先を、二三軒ならず冷かして
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斯うして八五郎はスゴスゴと神田へ歸る外はなかつたのです。
いぢめられつ兒が泣きながら母親の許へ歸るやうに、神田明神下の親分、錢形平次のところへ歸つて、結構な智慧を授け
「おや、錢形の親分、わざ/\神田からやつて來てくれたのかえ。八五郎の兄哥は飛んだ仕合
「神田から參りましたが、平次と申すもので――」