江戸 鳥取 浅草 隅田川

参覲交代に、幸か不幸か選ばれてお供の端に加わり江戸のお留守居に頤で使われて、来年の春の殿の帰国を待っ

それから幾日か過ぎました。江戸はすっかり青葉と鰹とほととぎすの季節になり切った頃、京姫の上にも

この男と一緒に、江戸の陋巷の真ん中へでも、人里離れた山の奥へでもと、一

代将軍徳川家斉の末の娘で淡路守の本家、因州鳥取三十二万五千石の城主、松平相模守慶徳に嫁合わせるため、淡路守を仮親と

上にも、いよいよ淡路守の娘分として、因州鳥取三十二万石の城主、松平相模守に嫁ぐ日は廻って来たのです。

護ろうとする大きな政略の犠牲となって、見も知らぬ鳥取の城主へ嫁ぐのは、京姫に取っては我慢の出来ない恐しさで

「――家斉の末の娘が鳥取に嫁いで、仲間と駈落したという有名な秘話は、皆様も

「――松平相模守――鳥取三十二万石の城主の奥方、十一代将軍家斉の末の娘が、こうし

望みでも叶えさせてやる」という評判を取った、浅草山の宿の修験者大寿院の話を小耳に挟みました。

院も相手にしてくれる筈もなく、行く先は手近の隅田川の底より外には無くなってしまいましたが金之助にはまだ一つ、