清水寺 根岸 江戸 長崎 深川 日本橋 上野

崩れで、佛門に入つて幽澤といふのが、清水寺の清玄ほどの逆上せやうで、野がけ道の糞蠅のやうに追つても叩いて

にさはります。そこで、いろ／＼考へた末、根岸の寮――と言つても、小大名の下屋敷ほどの立派なものですが

「根岸の寮へやつたものの、化けさうな幽澤坊主が附き纒つちや、

で、昨夜そんなに遲くなつてから、日本橋の店から根岸まで來たのはよく／＼急ぎの用事でもあつたのか」

「サア大變。親分、直ぐ根岸まで行つて下さい」

駒吉は、濱町の荷主のところへ廻つて一と足先に根岸へ着き、草鞋を穿いて後ろ向きに縁側にたどりつき、前から打合せのあつた伜

清水港から江戸へ入つた大井筒屋の船には南蠻物の夥しい品物の外に、金銀珠玉

、それが天竺の方まで流されて、三年目で長崎へ入つたといふ知らせが一と月ほど前にありましたが、昨日

ぢやないから、食ふためには托鉢もやるでせう。深川の遠い親類に泊つたとわかつちや、三輪の親分でも縛つて

――その女の子に惚れた野郎といふのは、――日本橋の呉服町に井筒屋といふ老舖の太物屋のあることは親分も御存じです

でもすつ心り手を燒いてしまつた。第一日本橋の呉服町の、店の居廻りを、朝から晩まで、小汚ない坊主がウロウロ

「ところで、昨夜そんなに遲くなつてから、日本橋の店から根岸まで來たのはよく／＼急ぎの用事でもあつた

と手わけをして參り、いろ／＼打ち合せた上、上野山下の知り合の家で落ち合つて、今では井筒屋の總本家

絞め殺したのだ。それから竹垣を跨いで表へ逃げ、上野山下の小料理屋で周吉と落合ひ、泥足袋を風呂敷に包んで、小料理屋に