本郷 石見銀山 湯島 江戸 長崎 高尾 神田

平次と八五郎は、そんなことで切上げて、本郷の通りへ出ました。

もとの薄墨華魁からの使ひで、お酌を二人本郷の吾妻屋さんへよこして貰ひたい、どうせ泊めるから、遲くなつても心配

られなかつたので、お袖といふのを一人だけ本郷へ駕籠で送りました」

て又持つて歸つたと言つてゐるのも本當だ。石見銀山の徳利を持つて行つて、南蠻物の毒酒を持つて戻つたのだ

してゐるところへ同じ運座の歸りのこれも浪人仲間の湯島の國府彌八郎樣が通りかゝり、驚いて飛び込んでマアマアと引きわけた」

「ところで、昨夜の藝子は何處から呼んだ。湯島か、芳町か、それとも――」

湯島の天神下にかゝると、

遊女崇拜を土臺にした江戸の文化は、大部分恥つ掻きな馬鹿々々しいもので、それは人類の

は精一杯手を伸ばしてゐたにも拘らず、そのまゝ江戸の坩堝の中に溶け込んでしまつたかと思はれてから四日目、

うちに、お月樣は一と晩毎に痩せて、江戸の街もやがて惡魔の跳梁に都合の良い、闇夜續きになつて行きます

で思ひつきました――私は商賣柄、ごく内密で長崎の異人から手に入れた、南蠻物の大毒藥」

賣春婦を神格化し、仙臺樣に吊し斬りにされた高尾を、貞烈無比な女と信じた時代の遊女は嚴しい選擇と激しい

それで充分でした。引揚げて神田明神下の自分の家へ歸ると、八五郎はもう鼻の下を長く