八丁堀 佐渡 名古屋 石見銀山 江戸 江の島 神田

これは大變な大捕物でしたが、八丁堀から與力笹野新三郎が出役、十二人の組子が夜中に足立屋を襲つ

れる大分限のくせに、塗籠め一つ作らず、『佐渡の土は燒けないから』と漏らしたといふ、主人徳右衞門の不敵さ

殺された番頭の林三郎は、長い間の知合で、名古屋から清水へ、一緒に仕事をして居りました、それが私の身代りに

歸つたところを、井戸へ突き落されたり、味噌汁の中に石見銀山が入つて居たり、障子の外から眞矢で射られて首筋に少しばかりだ

し、無理に金も拵へたらしいが、十年前に江戸へ來てからは、田舍で溜めた大金を資本に、金貸し商賣を

のは、良くないことで金を溜めたやうですね、江戸へ來たのは十年前、その前は何處かの船着場で、拔け荷

にした相で、――え、船の仕事です。江戸へ來ると直ぐ店に入れて頂いて」

「江戸へ來たのは？」

翌る年亡くなり、私は今の父に引取られて、江戸へ參りました」

も七年も前に、東海道清水港で起つたことは江戸の平次にわかる筈もありません。

居ると、足立屋の徳右衞門さんがそれを聞いて江戸へ呼寄せました」

「飛んでもねえ、これで一パイ／＼ですよ。江戸へ入ると、向柳原の叔母の家へ行く前に、兎も角、親分に話し

も、人に殺されたが、これは徳右衞門が江戸へ行つてからで、その女房が一年位後で死んでしまひ、孤兒

「すつからかんで、女房と二人夜逃げ同樣に江戸へ出た相です」

「お雪さんに頼まれたんです。去年の二月、江の島の辨天樣へお詣りに行つたとき、願をかけたんだ相で、

白金から神田まで飛んで來るうちに、大變が蒸發してしまつて、地味な

よく歩き出しました。八五郎などは今日だけでも、神田と白金の間を三度目、疲れを知らない戰鬪は、全くこの男