銭形平次捕物控 009 人肌地藏 / 野村胡堂
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どうしても五貫近いものになります。安政年間に江戸城の御金藏を破つた、藤岡十郎と大塚富藏が、二人がかりで持出した
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かねやす迄を江戸のうちと言つた時代、巣鴨や大塚はそれから又一里も先の田
出來るといふ話、寄進は言ふ迄もなく黒木長者で、江戸から宮大工を呼んで明日は積らせるばかりに計畫は進んで居りました。
二梃の駕籠、江戸の街霜を踏んで、一文字に巣鴨へ飛びました。
はガラツ八を促して、それつ切り後ろも見ずに、江戸へ引揚げました。
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かねやす迄を江戸のうちと言つた時代、巣鴨や大塚はそれから又一里も先の田舍で、田も畑も、武藏野
にやらそれが、大人の口に傳はつて、巣鴨、大塚、駒込界隈一圓の大評判になつて了ひました。
年間に江戸城の御金藏を破つた、藤岡十郎と大塚富藏が、二人がかりで持出した千兩箱がたつた四つ、今から考へる
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かねやす迄を江戸のうちと言つた時代、巣鴨や大塚はそれから又一里も先の田舍で、田も畑も
の間にやらそれが、大人の口に傳はつて、巣鴨、大塚、駒込界隈一圓の大評判になつて了ひました。
限らないところが、變に射倖的な迷信を煽つて、巣鴨の人肌地藏は、十日經たないうちに、福の神のやうに人氣
「あつしが? へエー、巣鴨まで毎日出かけるんですかい」
腑に落ちない乍ら、ガラツ八は其日から巣鴨へ詰めることになつたのです。
「それが靜かに言へねえ、何しろ巣鴨から一と息に驅けて來たんだ」
で鎧つて、さうはさせねえと言ふ騷ぎ。巣鴨はまるで戰場だ、親分、ちよいと行つて、何とかしてやつて
を廻す騷ぎだから、屋敷の中は煮えこぼれさうだ。巣鴨の兄弟分――牛屋の喜平のところへ泊り込んで、これだけの事を聞く
梃の駕籠、江戸の街霜を踏んで、一文字に巣鴨へ飛びました。
一緒に、店の方に寢泊りをして、滅多に巣鴨へは來ませんから、まだ此處へは顏を出して居りません
子分に、藤三郎とお仙を引渡して、二人は悠々と、巣鴨を引揚げる途中だつたのです。
平次は言ひ捨てゝ、もう一度巣鴨へサツと引返しました。
平次は顏を擧げて、その邊の地勢から、巣鴨の通りのさゝやかな家並に眼を移しました。
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それが、大人の口に傳はつて、巣鴨、大塚、駒込界隈一圓の大評判になつて了ひました。
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ばかりの間にこれだけのネタを擧げてしまひました。神田へ歸つて、身ぶり澤山にその話をすると、日頃あんまりガラツ八の話
顏も名も賣れた御用聞の錢形の平次が、神田からわざ/\驅け付けて來たといふので、家の子郎黨
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と言ふのは、妾のお仙よりも年上で、これは日本橋に店を持つて、手廣く生藥を捌いて居る總領の初太郎が
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で我慢しませう。この金と妹のお梅を、目黒に住んで居る親切な乳母のところへ送り屆けた上で、私は恐れ