大阪 満洲 神戸 新橋 渋谷 神田

そのうち主人の良一は会社の用事で大阪まで出張することになりました。

「それでは女探偵に頼むとするか、大阪の用事は二日で済むから」

手際を知って居るので、兄の良一も安心して大阪に出かけました。

ピカリと光る小型の拳銃、詩子はなんにも知らずに、大阪へ行った良人の事などを考えて居るのでしょう。編物の手も暫くは

その時丁度春藤家では、主人の良一が大阪から帰って来て、静かに事件の顛末を聴いて居りました。

ことになってからは、内地に見切をつけて、満洲へでも行って、一生を托する大事業でも見付けようか――と言って

結えながら、あべこべに赤帽にあやまって――その間も、神戸行の急行に目を離さなかったんですって」

「新橋からたったんじゃありませんか」

――花婿春藤良一と花嫁の詩子を乗せた自動車が、渋谷の春藤家を出ると間もなく、暗い路地の中から、待ち構えて居

関谷夫妻と親しい友人達は、すぐ渋谷の春藤家へ車を走らせました。道々、勇美子の説明するのを

陽子は、それから毎日、学校の放課後外苑に落合って、渋谷の春藤家の門の前から、自動車の衝突した路地のあたり、それ

勇美子は、その足ですぐ陽子を誘って、神田に事務所を持って居る顧問弁護士の石井三太郎を訪ねました。