銭形平次捕物控 277 和蘭の銀貨 / 野村胡堂
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「三年前九州から江戸へ參りました、長崎では、和蘭人などを相手に商法を
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やうに、隔てなくしていらつしやいます。昨日は川崎へお詣りに行つて、夜遲くなつてお歸りでしたが、その時
「御町内の衆五六人と川崎へ詣り、戻つたのは子刻(十二時)近かつたと思ひます、
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、あんまりボロい儲けをしたので、長崎を引揚げて、江戸へ來てから三年にもなるといふのに、元の商賣敵からひどい
に入らないんだ相ですよ、――長崎の敵を江戸で討つ」
青葉時の、此上もなく爽やかな朝でした。江戸の街々も、初夏らしい活氣に漲つて、急ぎ足の三人の衣袂に風
「岡さんは長崎からの古い知り合ひで、江戸へ一緒に出て、今では何彼と世話になつて居りますよ」
「三年前九州から江戸へ參りました、長崎では、和蘭人などを相手に商法をして
下女のお角は江戸で雇つた四十女で、口はよく動きます。
「皆樣、よく出來た方でございました、江戸生れの私には、何かと不自由もございましたが、それは些細な
ば、どんなことだつて出來ます。下女のお角は、江戸生れを自慢にして居る金棒曳ですから、お勝手を空つぽにし
來て、それと一緒に足柄へ參りましたが、江戸へ歸るのは、早くて明日あたりになりませう」
もあつた、浪人の岡浪之進が相談して、別に江戸には親類縁者も無いことでもあり、取敢へず長崎屋の後に娘
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「ところで親分、私は主人の毒害された晩は足柄の山中に居て知らなかつたが、三人が三人共、ひどく臆病
一と通りのことをやつて居るだけさ、尤も今度は足柄の山中に私の先生、塚越鐵翁を見舞ひ、その御病氣の平癒を
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兵衞の一家が、あんまりボロい儲けをしたので、長崎を引揚げて、江戸へ來てから三年にもなるといふのに、
「そんな氣のきかねえ話ぢやありませんよ、長崎で一と身上拵えた長崎屋七郎兵衞の一家が、あんまりボロい儲けをし
「曾我の五郎十郎と言ひてえが、實は長崎の拔け荷仲間で、腕の立つのは一人も居ないが、惡智惠
たのが氣に入らないんだ相ですよ、――長崎の敵を江戸で討つ」
「長崎の儲けを、長崎屋七郎兵衞とその弟の金之助が、用心棒の岡浪之進
「岡さんは長崎からの古い知り合ひで、江戸へ一緒に出て、今では何彼と
「三年前九州から江戸へ參りました、長崎では、和蘭人などを相手に商法をして、利分も多かつ
「長崎では一緒に働いたといふが――?」
「今度は昔の長崎の仲間が、外から仇をしたとも思へないが」
してあります、お勝手を覗いた位のことで、長崎のモモンガアに氣が附くものですか」
「恐ろしいことで御座います、――矢張り昔の長崎の仲間でせう、現に庭にこれが落ちて居りました」
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のは子刻(十二時)近かつたと思ひます、品川で散々飮んだ醉も覺めて、ヘトヘトに疲れて居りました」