本所 吾妻橋 大法寺 神田

、石原の利助――平次と事ごとに張合った、本所の御用聞――の一人娘で、この時二十二三だったでしょう。二三

「実は親分、お聞きでしょうが、あの本所の押込み騒ぎ――、昨夜は六軒目で、番場町の両替渡世井筒屋清兵衛が

が、狸に小判じゃ洒落にもならねえ。神田からわざわざ本所まで恥をかきに来たようなものさ」

本所を荒し廻った大泥棒、――井筒屋の主人まで殺した曲者は、言うまで

面白くはございません。私どもが聞いたんでも、吾妻橋の佐竹様のお屋敷の辺りかと思うと、松倉の方に変り、原

までもお品さんが思い付いた事にして、原庭の大法寺〈あの無住になっている荒寺〉の経蔵に手を入れさせるがいい、

大法寺の経蔵に向った二人の手先は、何の造作もなく、その中で馬鹿囃子

で、何やら耳打ちするとそのままガラッ八をつれて、神田の家とは方角違いの、原庭の方へ道を急ぎます。

銭形の平次は、子分のガラッ八を伴れて神田からわざわざやって来ると、利助の子分を十人ばかり駆り集めて、西は大川

小判ならわかるが、狸に小判じゃ洒落にもならねえ。神田からわざわざ本所まで恥をかきに来たようなものさ」

ジッとしてはいられません。手土産を用意して、神田まで一と走り。