桂離宮 高崎 根岸 江戸 根津 日本橋

。江戸の五重塔の多くが、此時代前後に造られ、桂離宮のやうな、世界的な美しい建築も造られた時代で、井筒屋の寄進で、

か申すことで――いえ、思ひ切つて申上げませう、先年高崎に御預け中、御切腹遊ばされた、駿河大納言忠長樣の忘れ形見だと

人を馳せて搜しますと、その娘が二人共、根岸の紫御殿に、安穩に隱されて居るとわかりました」

顏を見せず、錢形平次はたつた一人、その翌る日根岸の紫御殿に行つて見る氣になりました。

一方、根岸の紫御殿では、此時思ひも寄らぬ事件が起つて居ります。

「藪から棒に、何を言ふんだ。江戸中の人間の借金を帳消しにする御布令でも出たといふのか」

隣に、近頃紫御殿といふのが出來ましたよ。江戸では御法度の銅瓦三階建、何とか院樣の御許しがある

さうですが、平次の眼も其處までは及びません。江戸の五重塔の多くが、此時代前後に造られ、桂離宮のやうな、世界的

平次はフト思ひ當りました。江戸の大工では、彫物の左甚五郎、建物の辰三郎と並び稱された棟梁で

「決して御迷惑はかけません。――信者の數は江戸だけでも何萬人、此處に積んである現金だけでも、八五郎親分

「あ、根津の辰三郎だ」

「根津の辰三郎といふ棟梁、江戸一番といふ名人だ。その人に逢つて、紫

「あつしも膽をつぶしましたよ。根津へ行つて、棟梁の辰三郎の家を搜すと、――どうなつたと

他多勢の先達が、紫教といふのを擴め、日本橋通三丁目の大分限、井筒屋豊三郎その外の寄附で、根岸に紫御殿

、本人のお組お蝶が、此まゝに留り度い、日本橋の家へは歸り度くないと申す相で、手のつけやうが御座い