銭形平次捕物控 278 苫三七の娘 / 野村胡堂
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「いえ、お隣は皆んな駒形へ行つて留守ですし、他の人達をお騷がせするのもお氣
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「親方夫婦は長い間旅興行に出て、私共も名古屋で一緒になり、一座を組んで江戸に歸つたのは今から五年前
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戻すか、せめて一目たりとも逢ひ度い。いづれ故郷の九州へ歸る身であるが、娘が一緒に行かうとならばつれて行き度い
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たものは持つちや居ません。あつしは御存じの通り、江戸の町を歩く時は、路用は持たねえことにして居るんで」
つかれたのは、あつしも生れて始めてですよ。江戸といふところは、若い者には張合のあるところだと思ふと、腹の
「盜られたにきまつて居るぢやないか。江戸はどんなに面白い所だと言つても、田原町から此處へ來る間に
に違ひあるまい。ところが、八五郎兄哥と來ちや、江戸の町を歩くのに、路用も煙草入も持たねえ人間だ。仕方が無い
て、私共も名古屋で一緒になり、一座を組んで江戸に歸つたのは今から五年前、親方夫婦は、二人の娘を、
三宅島に流されて十八年、此程漸く許されて江戸に歸つたのぢや、――斯く申す拙者は、そのお半の實の兄
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「それほどでも無いでせう。兎も角、田原町から此處まで來る間に三人の新造に首つ玉に噛りつか
「順序を立てると、先づ田原町の八人藝、苫三七郎の家へ行つたことから話が始まります
「ところが、今日といふ今日、田原町の三七郎の家で一杯飮んでゐると、よく/\思ひ詰めたらしく
「田原町を出たのは薄暗くなつてから、ホロ醉ひ機嫌で、鼻唄なんか歌
ないか。江戸はどんなに面白い所だと言つても、田原町から此處へ來る間に、三人もの夜鷹に噛りつかれて
「それぢや、御苦勞だが、もう一度田原町へ行つて見るか。三七郎に逢つて、一刻も早く預つた書類を
「八五郎親分の使ひですよ、すぐ田原町へ來て下さるやうにと」
平次はさう言ひ乍らも、手早く仕度をして、田原町へ驅け付けたことは言ふまでもありません。
八五郎に迎へられて、平次が田原町へ着いたのは、もう子刻(十二時)近い頃でした。それ
「田原町の方も幾度も覗いて見ましたが、三七郎のお葬ひの
やるのは。厭だといつて駄々をこねるのを、田原町から無理に引張つて來ましたが――」
と八五郎は、浪人竹中十兵衞と一緒に、田原町の苫三七郎の家に出かけました。
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と、そのうちの一人、たしかお若さんの方は、日本橋とかのさる御大家のお妾の子で、本妻が生きて居るうち
「何んでも、日本橋のびつくりする程の大金持だ相で、本妻が死んで跡取は無く、
に、生れたばかりの女の赤ん坊を預けたのは、日本橋のさる大店の妾と申し上げた筈だが、まことは、大變な違ひ
に、産んだばかりの女の子に多分の金をつけて、日本橋の大店の妾の子と僞つて、三七郎殿に養育を頼んだ」
縛れと言つたつて、お百合さんは別だ、それは日本橋通三丁目の大賀屋宇右衞門さんの一人娘だ」