銭形平次捕物控 320 お六の役目 / 野村胡堂
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引摺るのです。高輪車町の巴屋というのは、江戸の土産物も売り、店では一杯飲ませて、中食も認めさせますが、
一昨日江戸を発つとき、巴屋へ押し上がって、旅の前祝いの大騒ぎをやらかし、二人の
忘れる筈はなく、相手のお六も、品川から朝立ちで、江戸へ戻ってきた賑やかな旅人の中から、八五郎の長んがい顎
か、昨夜は一人も客がなく、――尤もここは江戸の内と申しても、海道の入口ですから、泊りのお客は滅多にござい
などという種は、八五郎に言われるまでもなく、江戸始まって以来の珍捕物になりそうです。
良いから帳面を預っているが、これが何んと、江戸一番の腰抜けで、類のないほどの臆病者で」
の酌で、高輪の宿に一と晩を明かしたら、江戸のトバ口で蔭膳を三日据えられるという、川柳の馬鹿もある程
「番頭の勘三郎さんのことですよ。あの人は、江戸一番のいけ好かない人だけれど、主人殺しの下手人にされちゃ可哀そう
男です。あの人が主人なんか殺せる筈はない。――江戸には何百人も何千人も左利きがあります。現に、この家だけでも
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廻ると立派な旅籠屋で、土地も家作も持ち、車町から金杉へかけての、物持として有名な家でした。
金杉の竹松はすっかり良い心持になった様子で、金壺眼を細めます。
て、それに生湿りの土が付いていたから、金杉の竹松親分に縛られたのも無理はない。あの人は道楽がひどいから
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話の腰を折りました。話が面白かったので、銚子は一向にあきませんが、四辺はすっかり暗くなって、お静は諦めたよう
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江の島へ行った帰り、遅くもないのに、土蔵相模で一と晩遊んだ町内
「金杉の親分ですかえ。江の島の帰り、騒ぎがあると聴いて覗きました。見せて頂くと、神田へ
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は、八五郎も忘れる筈はなく、相手のお六も、品川から朝立ちで、江戸へ戻ってきた賑やかな旅人の中から、八五郎
「竹松親分も言いましたよ。三年前品川の問屋場に泥棒が入って、役人を一人殺して千五百両の御用金を盗ん
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いとこそうだ』に『炭坑節』『トンコ節』から『東京ブギ』の類いまで踊ったり唄ったり、あらゆる酔態を見せた一行の、
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お六はすっかり八五郎を甘く見ている様子です。尤も、神田を発ったのは遅かったにしても、馴染があるとか何ん
騒ぎがあると聴いて覗きました。見せて頂くと、神田へ帰って、銭形の親分に、飛んだ良い土産話になります」
「その五人の様子を、詳しく話して見るが宜い。神田で八卦を置いて、高輪の犯人を言い当てるのも、洒落ているだろう」
「飛んだことでしたね。お嬢さんに泣かれて神田からやって来ましたが」
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お前一人が頼もしい、そこを見込んで一生のお願いがある。浅草向柳原とやらの、八五郎親分のところへ連れて行ってくれ、あの