銭形平次捕物控 300 系図の刺青 / 野村胡堂
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して、代々豪士として勢威を振ひ、太田道灌が江戸に築いた頃は、それに仕官して軍功を樹てましたが、徳川家康
持つて、その收入で手堅く暮してゐると言つた、江戸の郊外によくある旦那衆だつたのです。
わけはありませんよ。彫物師も上手になると、江戸に何人とありません。どうせ此近くなら、神田の彫辰か、竹町の彫
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「牛込の叔母は細々と商ひをして居ります。叔母の望み通り、二人は
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、日頃隱遁の志があつたために、身を退いて巣鴨に隱れ、昔乍らの豪士として、幾代かを經たといふの
「放つて置いて下さい。巣鴨で小半日縁の下を這廻つたんだから、袷に泥もつきますよ」
「巣鴨の染井鬼三郎が、一昨日の晩殺されましたよ」
「巣鴨の染井鬼三郎が殺されたのは一昨日の晩。昨日そいつを見付け
春の陽、うら/\と霞む本郷通りを、二人は巣鴨へ飛んだことは言ふまでもありません。
巣鴨の染井家は、まことにてんやわんやの騷ぎでした。主人と言つても
八五郎は安請合に請合つて、巣鴨へその晩のうちに飛んで行きました。
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て、八王子まで行つた平次が、御用が一段落になつて神田明神下の家へ歸り、一と晩休んで、漸く旅の疲れが取れ
と、江戸に何人とありません。どうせ此近くなら、神田の彫辰か、竹町の彫定か――」
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それから三四日、大事な追ひ込みがあつて、八王子まで行つた平次が、御用が一段落になつて神田明神下の家へ歸り
性分では出來ないことだよ。それに御用があつて八王子――いやこいつは言ひわけだ、八五郎さへ面白くねえ顏をして居るくらゐ
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た。品川まで所用あつて參り、遲くなつて、品川宿の島屋佐兵衞の家へ泊り、昨日晝少し前に歸つて來る
晩は、折惡しく私は留守にいたして居りました。品川まで所用あつて參り、遲くなつて、品川宿の島屋佐兵衞
「姪のお梅でございます。丁度主人は品川泊りで留守、隨分心配をいたしました」
あつたといふのは、何よりの證據ぢやないか。品川の島屋などへ行つて、染井福之助がその晩泊つたかどうか、