銭形平次捕物控 166 花見の果て / 野村胡堂
地名一覧
江戸
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「潮來から、江戸へ歸つて來た樣子はないのか」
の言ひ付けには反きますが、二、三日前から江戸へ來て居たので、變事を聽いて駈け付けました。皆樣
向島
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「まだ薄明るいぢやないか、橋の上から、もう一度向島を眺め乍ら、一杯やらう」
暮れ殘る夕暮に、大川の水面を薄紫に照して、向島のあたりは花の霞の裡に、さながら金砂子を撒いたやう。
といふのに、兩國橋に引返して、橋の上から向島の遠見の花を見ようなどと醉興なことを言ひ出したのは誰か
「向島で一日中後を跟けた者が無かつたのか。その時は氣
「その若旦那の姿を、昨日向島の土手で見掛けなかつたかい、頬冠りをして居たさうだが」
へ行くんでも、お供はあつしでしたよ。若旦那が向島に居たものなら、三丁先から匂ひでもわかりますよ」
「向島の土手で、菊屋の同勢の跡をつけ廻した人間があるにしても
「頬冠りの男は、船が出てからまで、向島土手で見送つて居たといふぜ、それから人混みの中を駈け出し
これは結構過ぎるほど結構な不在證明です。すると、向島で一日菊屋の同勢を見張つたといふ、頬冠りの男は一體誰
大縮尻さ。若旦那は向島へ行つて居ないし、向島で船の出るのを見て、陸を飛んで來ては、兩國の西詰
した細工だが、あれは大縮尻さ。若旦那は向島へ行つて居ないし、向島で船の出るのを見て、陸を