相生町 江戸

「お前は何時ものやうに相生町から河岸ツ縁を歸つたらう」

「さうだらう、俺は相生町から河岸ツ縁を歸つたが、逢はなかつたもの」

が松坂町の路地を通つたといふと、――俺は相生町の河岸ツ縁を眞つ直ぐ歸つた、だから逢はなかつた――と

させ乍ら來たのは、後の月が過ぎて、江戸も冬仕度に忙しいある朝のことでした。

枚入つてゐる筈だ。大膽不敵だね、それで江戸の町を押し廻すんだから」