佃 江戸 両国 浅草 蔵前 神田 浜町

これがあべこべだと話になりませんよ。お寿は佃で育って、あんな華奢に見えるくせに、泳ぎは河童の雌ほどうまいそうです

ますよ、親分。芝居小唄の千之介、六郎兵衛はともかく、江戸じゃ、お寿とお政は女師匠の両大関だ。吉原から浅草一円、柳橋

頃は隆達小唄や、平九節小唄の勃興期で、江戸にも漸く名人と言われた、女師匠が現われるようになっていました

平次もここまで聞かされると、江戸名物の小唄お政の命が心配になります。

、とても五年と保たないものだ。不思議に思って、江戸でたった一軒の、和蘭物を修繕す家で訊くと、近頃ギヤマンの懐中

前の山口屋が、二人を伴れて柳橋から船を出しました。両国の下へ舫って、歌う、飲む、踊るの大騒ぎです」

、お寿とお政は女師匠の両大関だ。吉原から浅草一円、柳橋へかけての弟子だけでも、千人ずつはあると言わ

「それどころじゃねえ、親分――あ苦しい、浅草からここまで駆けて来たら、物が言えねえ」

、思いの外気軽に支度をすると、八五郎と一緒に、浅草へ急ぎました。

「この時もお寿と一緒で、――お蔵前の山口屋が、二人を伴れて柳橋から船を出しました。両国の下

お文はさすがに言い渋りました。蔵前の大通と姉の情事を岡っ引の耳へなど入れたくなかったのでしょう。

どっちともつかぬ事を言って、夜更けの街を、神田へ帰って来ました。

ガラッ八が神田の平次の家へ飛込んで来たのは翌る朝でした。

大手柄でしたよ。朝っから飛廻って漸く突き止めました。浜町の大野屋の船頭で、喜七という――」