日比谷公園 東京 銀座 永田町

千種十次郎が斯う言った時は、二人は日比谷公園のロハ台の上へ、二羽の十姉妹のように押し並んで居りました。

声を掛けたのは、高城鉄也という、東京新報の花形記者で、足の勇とは商売敵に当るのですが、敵愾心

華やかな笑顔を向けたのは、園花枝という同じ大東京新報の婦人記者、筆の立つのと素性のわからないのと、それより

なら、俺も一口入れて貰おうじゃないか。気の毒だが東京中の一流の料理屋を、虱潰しに二三十軒飲み歩いて見せるよ」

種では駄目だ。その特種が新聞へ出たら最後、東京中の新聞が、否応なしに引ずられて付いて行くような種で

粗悪な石墨を使った、一番下等な品だろうと思う。東京の真ん中で、こんな鉛筆を使う者は、新聞記者の外には無い。

よくは知らないが、言い出したのは何んでも東京新報の高城鉄也君だとか言ったぜ」

、山羊髭の覗いて居る工合、どう見てもそれは、東京新報の記者、高城鉄也の肖像でなければなりません。

を引かれて、抗らい乍ら入って来たのは、東京新報の女記者、あの匂いこぼるるような、美しい園花枝です。

反いて、文筆労働者の群に投じ、とうとう名を変えて東京新報の女記者になり了せて居たのです。が、本人は素性を

は、千種十次郎を誘うともなく、黙々として、銀座から数寄屋橋の方へ切れます。

もう十時を過ぎたでしょう。銀座あたりはまだ宵の内でしたが、公園の中はすっかり更けて、街

匂いがあるから、大急ぎで飛んで行くと果して大変――永田町の外交研究会の事務所へ、昨夜泥棒が入って、金庫の中から、一番

二人はそのまま口を緘んで、永田町の方へ登って行きました。雲模様の冷い、風が、無人の

窓を開けて、永田町の往来へ、小柴の身体は放り出されてしまいました。