大阪 名古屋 駿府 江戸 佐久間町 神田

の影武者の一人と言はれた、つまらない三下野郎で、大阪へ行くと苦もなくつかまりましたが、親分の傳次に頼まれて、

「いや、飛んだ縮尻さ。大阪まで物笑ひの種を撒きに行つたやうなもので――」

、兇賊木枯の傳次を追つて、東海道を駿府へ、名古屋へ、京へと、揉みに揉んで馳せ上つて一と月近くも留守。

平次に追はれてゐる筈の木枯傳次は、平次が名古屋あたりへ行つた頃――つまり江戸を逃げ出して十日も經たないうちに

形平次は、兇賊木枯の傳次を追つて、東海道を駿府へ、名古屋へ、京へと、揉みに揉んで馳せ上つて一と月近く

傳次は、平次が名古屋あたりへ行つた頃――つまり江戸を逃げ出して十日も經たないうちに、早くも立ち戻つて、平次の

ましたが、親分の傳次に頼まれて、平次を江戸からおびき出すため、東海道五十三次を、僞の證據をバラ撒き乍ら歩いたとわかつ

に乘せて、宿々の人足に世話を燒かせ乍ら、江戸まで持つて來るのはあまりにも馬鹿／＼しく平次は大舌打を一つ

＼しく平次は大舌打を一つ殘して、飄然と江戸へ歸つて來る外はありませんでした。まさに、錢形平次一世一代

歸つては見たものの、江戸の方の木枯傳次騷ぎは、三輪の萬七が取り仕切つて、

次は、全くの影法師で、眞物の傳次はヌクヌクと江戸に居殘り、前にもまして荒れ廻つたことは大方世間の評判でも聽

この秋から江戸の一角を荒し廻る兇賊木枯傳次、恐しい躰力と機智と、その上許し

れたんださうですよ、――そんな事は親分が江戸に歸つた時、詳しく話したぢやありませんか」

も立ち戻つて、平次のお膝元――神田明神下一角から、佐久間町、久右衞門町、八名川町と八五郎の御膝元なる向柳原一帶へかけて

ないうちに、早くも立ち戻つて、平次のお膝元――神田明神下一角から、佐久間町、久右衞門町、八名川町と八五郎の御膝元