八丁堀 江戸 茗荷谷 小日向 京都 千葉

錢形の平次は八丁堀から小日向へ、初夏の街を大汗になつて馳け付けました。

笹野新三郎に別れて、八丁堀の往來へ出ると、ポンと彈き上げたのは、例の錢占の青

平次、面白次第もなく差し俯向きました。怪盜風太郎が江戸を荒し始めてからザツト三月、江中の岡つ引が、腕に撚を

右手、茗荷谷へ拔ける方に、一人の女が惡戯ツ子の姿をぢつと見送

「小日向に屋敷を持つて居られる赤井左門殿、二千八百石を食んで、旗本中で

の品ではありません。尚上樣家光公が、京都の空與上人をことの外御信心で、上人の爲洛北に一宇の堂を

左門の家の子郎黨達ばかり、草履取や中間まで、千葉の領地から呼んだ正直者ばかりですから、そんな大それた人間は居る筈もあり