音羽 下谷 京都 千住 目黒 大塚 目白

千種の藥草靈草から發する香氣は、馥郁として音羽十町四方に匂つたと言はれるくらゐ。幕府の御藥園の權威は大したもの

ありません。腹立ち紛れの彌造を拵へて、長い音羽の通りを、九丁目まで來ると、ハツと平次の足を止めたものがあり

面目に頼み事があるんだ。靜ちやんは、近頃評判の音羽の唐花屋へ買物に行つたことはないか」

駕籠は無提灯のまゝ、音羽の裏通りを眞つ直ぐに、今の護國寺、その頃の大塚御藥園の

ん。鷹狩が濟むと、待ち構へて居たやうに音羽へ下つて、大塚御藥園の高田御殿へお入りになります。

當りました――芝伊皿子の荒物屋の娘お夏、下谷竹町の酒屋の妹おえん、麻布笄町で御家人の娘お幸――、數

の臣で、本草學の心得があるのを幸ひ、京都に行つてその道の蘊奧を窮め、身分を隱して大塚御藥園を

雜司ヶ谷ばかりぢや御座いません。目黒にも桐ヶ谷にも千住にも、この秋はことの外獲物が多いといふ評判で御座います。それが

。小鳥の居るのは雜司ヶ谷ばかりぢや御座いません。目黒にも桐ヶ谷にも千住にも、この秋はことの外獲物が多いといふ評判

ヶ谷の鷹野の歸り、上樣には決つて、大塚御藥園へ御立寄りになる。あの中に新築した高田御殿で、一

大塚御藥園、一名高田御藥園といふのは、今の音羽の護國寺

與力笹野新三郎の屋敷を飛出した錢形平次、いきなり大塚へ飛んで來て、この藥臭い塀にヘバリ付きましたが、場所が

裏通りを眞つ直ぐに、今の護國寺、その頃の大塚御藥園の裏門へ、呑まれるやうに入つてしまひました。

、間近に置かれなかつたまでのこと、音羽から小日向、大塚へかけては、何千とも知れぬ警護の士で、蟻の這ひ

、待ち構へて居たやうに音羽へ下つて、大塚御藥園の高田御殿へお入りになります。

に行つてその道の蘊奧を窮め、身分を隱して大塚御藥園を預るまでに出世したのです。

大塚御藥園は、その後間もなく取潰しになり、天和元年護國寺建立の

と、ハツと平次の足を止めたものがあります。目白坂の降口に、紺暖簾を深々と掛け連ねて、近頃出來乍ら、當時