松永町 江戸 佐久間町 京都 神田

「松永町の裏で」

あの足で二人は松永町の裏へ――、成程手頃な地所はありますが、よく取片附けられて

が搖れると、恐る／＼顏をあげて、相對した江戸一番の御用聞――錢形平次の顏をソツと見上げるのです。

浴衣は、別れた母親讓りの品らしく、二三十年前江戸で流行つた、洗ひ晒しの大時代物、赤い帶も芯がはみ出して、繕

平次と八五郎は、お濱に案内させて、直ぐ佐久間町の灸點横町へ驅け付けました。

それから平次は、佐久間町を中心に、神田中の材木屋を片つ端から訊ねて歩きました。

「京都に上つて、久我家へお願ひする日を指折り數へて、父

や住居も要ります。父さんはそんなこんなで、千兩溜めたら京都へ上るつもりで、そればかり樂しみにして居りましたが、千兩

「檢校になるのは、七百十九兩で濟みますが、京都へ上る路用から、檢校になつた時、見苦しくない身裝や住居も要り

を機會に、いよ／＼この月のうちには、京都へ上ることに決めてしまつたのでした。

多の市といふのはお灸と鍼の名人で、神田中に響いた盲人ですが、稼業の傍ら高利の金を廻し、吸ひ

それから平次は、佐久間町を中心に、神田中の材木屋を片つ端から訊ねて歩きました。