本所 川越 相生町 江戸 鎌倉町 深川 神田 住吉 日本橋

、引戻されでもすると恥の上塗りですから、音次郎は本所から深川へかけて、お得意先を廻るといふのが口實。最後に相生町の

ますから、私は諦めて、身體さへ治つたら、川越の兄のところへ歸ります」

「お蔭樣で、――明日あたりはいよ／＼川越へ歸らうと思つて居ります」

「私は川越で育つて、家は水に近いので少しは泳も知つて居ります

お前が考へたやうな心中男ぢやない。早く諦らめて川越へ歸るが宜い」

かけて、お得意先を廻るといふのが口實。最後に相生町の叔母さんの家で宵を過して、元柳橋へ駈けつけた時は、もう

「八、相生町の音次郎の叔母さんの家を知つて居るか」

二人は相生町へ。平次の張りきりやうといふものはありません。

知らせる合圖だつたのさ――月が良いのに相生町の叔母の所から提灯を借りて來たのはその用意だ」

「ところで、もう一つ、相生町の煎餅屋の家を音次郎が飛び出したのは、亥刻（十時）少し

「音次郎は、相生町から鍋町まで驅けつけ、打ち合せの通りお京が三芳屋から脱け出すと、入れ換つ

五十を越した主人は、老熟した江戸の大町人らしくもなく、皺だらけの一塊の中老人で、丈夫な繩が

八五郎の案内で平次が乘込んだ時は、鎌倉町の河太郎といふ、中年者の御用聞が、土地者だけの顏をきかせ

鎌倉町の河太郎は斯う手輕に片付けて居るのです。

「鎌倉町の親分の前だが、その泥棒が細引まで用意して忍び込んだといふわけ

鎌倉町の河太郎は、鬼の首でも取つたやうに、一つの手掛りに獅噛

「それはどういふわけだえ、鎌倉町の」

鎌倉町の河太郎は、平次の眼の屆かぬ證據を掴んで、すつかり良い心持に

「そんな事かも知れない、――が、鎌倉町の親分。曲者が外から來たものとばかりも言ひきれない證據もあるん

鎌倉町の河太郎はあせりきつて、番頭佐吉、甥の音次郎、手代の新六を交る／″＼

れでもすると恥の上塗りですから、音次郎は本所から深川へかけて、お得意先を廻るといふのが口實。最後に相生町の叔母

神田鍋町の雜穀問屋、三芳屋彦兵衞の甥の音次郎と、同じ店に奉公人の

神田鍋町の家持で、雜穀問屋をしてゐる三芳屋は、その朝店の

住吉は戸袋に近い縁側のあたりを指さすのでした。

「心中でもしようといふ奴は、日本橋の晒し場で毎々お前も見てゐるだらうが、大概醜男に醜女ときまつ