銭形平次捕物控 183 盗まれた十手 / 野村胡堂
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痛めるのは氣がさしてならねえよ。それに俺は八丁堀に行く用事を思ひ出したんだ。上方から來て江戸を荒した天滿の七之助
平次は八丁堀の組屋敷へ、八五郎は兩國でブラブラして、晝少し過ぎに引返したの
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夜風に吹かせ乍ら、兩國橋の上にかゝると、丁度金龍山の亥刻(十時)の鐘が鳴ります。上を見て通れ――
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やうな、いやに、蒸し暑い晩でした。その頃上方から江戸に入つて來て、八百八町の恐怖になつた、巾着切と騙りの仲間
お屆けする、公用金百兩を、月當番二人で江戸まで持つて來ることになつたところ、一人は急病で動けなくなり、水右
なくなり、水右衞門たつた一人で、覺束ない乍ら江戸まで持つて來たといふのです。
屆けることにし、兎も角も、滅多に來る折もない江戸を見物する氣になり、先づ兩國の盛り場へ來て、夕暮近い雜閙の中
は八丁堀に行く用事を思ひ出したんだ。上方から來て江戸を荒した天滿の七之助一味のお白洲が明日開く筈で、笹野の旦那が
から百兩の金は水右衞門さんに返すのだ。江戸に何時までも居ちやろくな事はあるめえ。遲い早いを言はずに、
惡黨ですよ。上方へ行つて惡事を重ね、近頃江戸へ歸つて來たと言つて執拗く昔の綟を戻すやうに言つて來
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いふのださうですが、村から御領主大久保加賀守樣上小川町の御屋敷にお屆けする、公用金百兩を、月當番二人で
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水右衞門といふのださうですが、村から御領主大久保加賀守樣上小川町の御屋敷にお屆けする、公用金百兩を
その百兩の金を直ぐ上小川町の大久保加賀守上屋敷へ持つて行けば宜かつたのを、少し時刻が遲れ
の水右衞門といふ、日本一の正直者さ。御領主大久保加賀守樣御屋敷に屆ける村の年貢の金が百兩、それを取ら
めえ。遲い早いを言はずに、これから直ぐ上小川町の大久保樣に屆けて、明日の朝は早々と小田原へ歸るが宜い。路用
「百兩持つて逃げたんぢやありませんか。大久保樣のお留守居に伺つて來ませう」
「大久保樣ではそんな事は知らないといふことですよ。殿樣は御在
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そりや知つて居るとも。小田原在のお百姓が、神田一パイに聞えるほど張り上げての話だ」
神田明神下の平次の家へ落合つた時、八五郎は全く頭を擧げる氣