銭形平次捕物控 075 巾着切りの娘 / 野村胡堂
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「相生町のお華客で、三百八十両、小判で受取ったのは巳刻少しまえでした
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へ乗込んで、手前の素性をみんなバラしてやるまでよ。江戸で指折の大店が、巾着切りの娘を嫁にするかしないか。
金を抜いて娘をくれと吐かしやがったな。手前は江戸の巾着切りの面汚しだ。弁天様のような娘を、そんなモモンガアの餌に
それから一と月、江戸は青葉の風薫る頃となりました。三百八十両を取り返したのは、彦兵衛
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っ走りをしたか見当がつかねえ、――ともかく、近間の両国へ駆け付けて、幸い間に合ったからいいようなものの、これが永代へでも伸
。いずれは心中ものだろうと思ったが、永代へ行ったか両国へ行ったか、それとも向島へ遠っ走りをしたか見当がつかねえ、――ともか
、小判で受取ったのは巳刻少しまえでした。真っ直ぐに両国へかかると、橋の袂でどこかの小僧さんが待っていて、『増屋の主人が小梅
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「神田の平次だ」
として本心に立ち還り、娘のお富を引取って、神田で堅人に生れ変った経緯――平次は何もかも知っていたの
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、永代へ行ったか両国へ行ったか、それとも向島へ遠っ走りをしたか見当がつかねえ、――ともかく、近間の両国へ
(午前十時)前に受取った金を、わざわざ花時の向島へ持込んで、巾着切りに取られる奴があるものか、――その上
「別に疑う心持もなく、向島へ行くと、ちょうど花は真っ盛り、昼前だというのに、土手は、
「外じゃねえ。昨日向島で抜いた、増屋の息子の三百八十両」
「何を言うんだい、彦兄イ。向島だの、三百八十両だのと――俺はもう悪事とは縁切りさ。
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「それでは、私の父さんは、すぐそこの浜町に居ります。行って相談してみましょうか」
は、あっしが一と走り行って来ますよ。二人を浜町へ連れて行っちゃどうでしょう」
「浜町で堅気に暮しているとは聞いたが、お富の親がお前と
それを追って平次。二人はしばらく無言のまま、浜町河岸に立って、銀鼠から桃色に明けて行く大川端の春を眺めており
浜町の家では、お富と徳之助が、平次に言い宥められながら、事情を
前提として、しばらくは世間体を兼ねて、お富は浜町の父親の許に留めるのが穏当だろうということになり、迎えに来
浜町の貧しい父親の許に、暇乞いに来たお富は、近所の人達
「時々は浜町へもいらっしゃいな」
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かつては浅草で左官をしていた彦兵衛、飲む、打つの道楽が嵩じて、一時
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田原町の経師屋東作、四十年輩の気のきいた男ですが、これが描き菊石
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(例)両国橋
は辛くも間に合いました。夜桜見物の帰りも絶えた、両国橋の中ほど、若い二人の袂を取って引戻したのは、本当に精一杯の
「両国橋から飛込もうとするのを、どんなに骨を折って止めたか――捕縄
菊石だ。あの三百八十両を抜かれたばかりに、昨夜は両国橋から、危なく若い二人、身を投げるところよ」