大江戸黄金狂 / 野村胡堂
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加賀守に仕えて、百五十石を食んだ山浦丈太郎は、箱根の関所の役人をしている時、同役万田九郎兵衛の容易ならぬ非曲を
、其方のためには不倶戴天の敵山浦丈太郎は、箱根の間道太閤の辻堂の前に立って居ることになっている。夢々疑うまい
「龍之助様、箱根へいらっしゃるのでしょう」
――万田龍之助は、親の敵を討つために、箱根の間道へわけ入ることになっている。相手は山浦丈太郎という勇士、龍之助一人
「貝六は俺だよ、江戸から箱根までの間に、憚り乍ら貝六という人間は俺より外にはねえ筈
私と世帯を持つ気はないかえ、気が向いたら箱根へ来なよ、たいこう道の辻堂の前へ、十五日のお月様の
飯盛に嫌がらせをしたのは幾人もありますが、箱根の山の中へ呼出されるほどの深間は一人も無かったのです。
時、後日のために、掘った黄金の一部を割いて箱根の山中に隠して置いたのだ。その頃箱根にはまだ関所はなかった
割いて箱根の山中に隠して置いたのだ。その頃箱根にはまだ関所はなかった。石見守は腹心の家来石坂左門次に命じて
つに切った絵図面は、大久保石見守の百年忌に、箱根の山の間道で一緒に集まることになったのだ。こいつはまぐれ当りや、
人の子孫を、糸をたぐるように、日本国中から箱根へ集めているのだ」
は空善、これも同じような不思議な手紙を貰って、箱根の間道へと急いで居たのです。
。滝見の茶屋で、愛嬌を売物にして居た、箱根名物のお滝、小田原の家中の若侍が、どんなにこの女一人を話題にし
れて行くのです。「出女入鉄砲」と言われた箱根の関で役人の前へ女を連れて出るのは、山路へ一人残して
山浦丈太郎は妙に思い当ります。箱根の間道へ、今日に限ってわけ登る十七八の若い武家、それが自分
「此処は箱根の裏道だぜ、お滝、あんまり増長すると――」
一礼して山浦丈太郎は、箱根に馴れて健やかな足取り、果し合いの場に臨むたしなみには無いことですが、
、それにもいろいろ話がありますが、暫く私は、箱根の夜の伝奇に止めようと思うのです。
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は、大久保石見守が、家康公の命令で、最初に伊豆の金山を掘った時、後日のために、掘った黄金の一部を割いて
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ので、腹を据え兼ねて万田九郎兵衛を斬って捨て、江戸に飛出して、心細い浪人生活を続けているのでした。
正徳三年八月の初め、七代将軍家継の時代、江戸は驕者の坩堝となって、何処の社会でも、金が慾しくて慾
なく、棒振剣術の道場は、稲荷の祠と数を争う江戸の街で、浪人者の生活の足しになる仕事などは、金の草鞋で
「貝六は俺だよ、江戸から箱根までの間に、憚り乍ら貝六という人間は俺より外には
七万両の黄金が、江戸へ持出されて何うなるか、それにもいろいろ話がありますが、暫く私
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三年前まで、小田原の城主大久保加賀守に仕えて、百五十石を食んだ山浦丈太郎は、箱根の関所の
斬ったに違いない」と言い触らされ、何時まで経っても大久保家から召し還しの使者が来ないばかりでなく、反対に刺客を放って
「それだよ、貝六、それがありゃ、手前も大久保石見守の子孫の一人だ、七万両のうち一万両だけは威張って貰える
百年前、慶長十八年八月十五日に亡くなった、大久保石見守という人は、若い時分は能役者だったが、東照家康公の
人の子女は、一人残らず斬られたり流されたり、大久保石見守の遺した財宝は一ぺんに形無しになってしまった」
「その大久保石見守は、武州八王子で、三万石を食んで亡くなったが、死んだ
「無い筈だ。その七万両というのは、大久保石見守が、家康公の命令で、最初に伊豆の金山を掘った時
一時に世に出て、秘めた七万両の宝が、大久保家の再興に役立つように念じて刑死した」
が、逞ましい智慧を働かせて、絵図面の切れを持った大久保石見守の七人の子孫を、糸をたぐるように、日本国中から
「七つに切った絵図面は、大久保石見守の百年忌に、箱根の山の間道で一緒に集まることになっ
「大久保石見守の子孫は、四方八方に散って居る。勝手な苗字で勝手な
「大久保石見守の子孫が七人、それぞれ祖先からの言い伝えで、七万両の事
「山浦氏、素より不浄の宝だが、大久保石見守の血を引く我々を此処まで導いた上は、この儘にも
は自分だと思って居るだろうが、よく考えて御覧、大久保石見守の子孫が、百年後にどうして居るか、一々教えて
に智慧がありそうだ、――考えて見るが宜い、大久保石見守の子孫、七家の人間を百年も見張って、敵を討つ
怨を忘れないように、代々子から子に言い伝えて、大久保家の子孫七人の身の上を調べ抜き、百年目の俺の代に
金を隠してやったばかりに、此穴の中で、大久保石見守に殺された、石坂左門次の孫の子の子だ、―
でお互に殺し合うんだよ、素晴らしい観物だぜ。大久保石見守の子孫には、丁度宜い仕事だ」
「約束事じゃ、大久保石見守の子孫の末、七万両の金が身近にあると聴いて、
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武州八王子にこれも佗しく暮している浪人者、万田龍之助も、同じような手紙を
。その敵も討たずに、お染の愛に溺れ、八王子から一歩も踏み出す心の無いのは、何んという見下げた性根で
旅仕度もそこそこ、八王子の町を飛出した万田龍之助の後から、斯う声をかけたものがあり
さんざん揉み抜いた揚句、公沙汰になって、公儀役人が八王子の屋敷へ乗込んで調べると、驚いたことに、屋敷の庫も、石見
「その大久保石見守は、武州八王子で、三万石を食んで亡くなったが、死んだ後で大変な騒が