銭形平次捕物控 047 どんど焼 / 野村胡堂
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萬治三年は正月から大火があつて、湯島から小網町まで燒き拂ひ、二月は人心不安の爲將軍日光社參延引を
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不安の爲將軍日光社參延引を令し、六月には大阪に雷震、火藥庫が爆發し、到頭江戸町家の二階で紙燭、油火
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で、お勝手には飯炊きのお熊どんと行儀見習に下田の取引先から來て居るお濱さんが、燗を付けたり、料理の世話を
「いえ、お濱と言つて、行儀見習に下田の取引先から來て居る娘ですよ」
變心配して居るぜ。唯の奉公人と違つて、下田の親元へ濟まないつて――、一人で歸るのが極りが惡きア
「吉三郎は相模者だと言つたが、實は下田の者さ。お濱に懸想して江戸へ追つかけて來たが、お
「三崎や下田には投銛の名人が居るよ、十間も二十間も離れたところから
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「吉三郎は相模者で、お前は伊豆――海一つ向うだな、――番頭の與母吉は何うだ。
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、年を越さないうちは嫁にもやれないから、暫らく江戸の水を呑ましてくれといふ親元の頼みでしてな」
「江戸では滅多に見かけない形だが――」
「今年は火の用心の御布令があつて、江戸の町ではどんど燒が御法度ださうですよ」
が、實は下田の者さ。お濱に懸想して江戸へ追つかけて來たが、お濱も滿更でなかつたんだらう、何
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「三崎や下田には投銛の名人が居るよ、十間も二十間も離れた
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勘次郎は二十三になつたばかり。日本橋業平と言はれた好い男で、隨分罪も作つた樣子ですが、一
「ツイ日本橋に用事があつて來ると、其處で與母吉さんに逢つてネ、
仙太は日本橋界隈を繩張にして居りますが、向う息の荒い割には氣