礫心中 / 野村胡堂

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地名一覧

印旛沼

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を思い立たれ、それを手柄と思って居られる、今度は印旛沼の埋立てじゃ、江戸十里四方の土地の召し上げじゃと、出来ない相談を持出し

越前

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のじゃ、――日本国中津々浦々まで響けと、この越前は世を警める鐘を撞いたのじゃ、――其方共は自分の身

江戸

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町奉行自身、江戸の街を見廻るというのは、何年にも無い珍らしい事ですが、御

守は、時には微行で、時には大びらに、江戸の町々を巡って、その冷酷無残な眼を光らせたのでした。

三月、橋梁に虫の這うのも読める真昼、所は江戸の日本橋、数百人の好奇の眼の前に、曾て人目に触れたことの

無い軟弱浮華なもので、此儘で行ったら、お膝元の江戸は言う迄もなく、日本国中どうなる事かと思う程でした。が

「尤もだよ、江戸で十本の指に折られた大分限が、御改革のお蔭で半歳経た

をかかせたあの鳥居の奴を討ってやる、序に江戸の人達を、こんな目に逢わせる老中――」

水野越前守出現以前の、爛れ切った江戸の豪勢さは、物の本などに詳しく出て居ります。例えば「遊女の下駄に

水野越前守は、そのだらけ切った江戸の町人に三斗の醋を喰わせたのでした。

を手柄と思って居られる、今度は印旛沼の埋立てじゃ、江戸十里四方の土地の召し上げじゃと、出来ない相談を持出して、御老中若年寄

「予は、腐り果てた江戸の風俗を此手で解きほぐし、新しい大江戸を建て直そうとしたのじゃ、――

「殿様は江戸の為、公方様の為、下々の為に遊ばされた事だ、――

事情を知らぬ江戸の町人共は、滅茶滅茶に越前守を怨んで居ました。老中罷免と聞く

「江戸の敵、日本一の大悪人」

「江戸の敵」

両国

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両国の東西橋詰を賑わした、名物の水茶屋も取払われ、月見船はおろか、橋の上

両国で心中の相談をしたのは去年の九月十三日だったのです。

日本橋

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「吝嗇漢に茄子は買は(わ)すな日本橋――か、ハッハッハッハ、こいつは面白い、逆さに読んでも同じだ、落首

場所もあろうに、公方様は膝元の江戸日本橋、

、橋梁に虫の這うのも読める真昼、所は江戸の日本橋、数百人の好奇の眼の前に、曾て人目に触れたことの無い

つ残らず没取、娘のお藤は翌る十三年三月日本橋の袂で舌噛み切って死んで了ったのでした。

襦袢を着て居たばかりに、お前さんの為に、日本橋で裸にされ、舌噛み切って死んで了ったよ、よもや知らないと

浜町

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お豊は要次郎の胸を離れると、月下の町を浜町の方へ去り行く役人の後ろ姿を見送り乍ら、斯う言うのでした。

向島

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向島小梅に新築した、後藤三右衛門の別荘落成祝いは、町奉行鳥居甲斐守を

深沈として更け行く向島の春の夜。

両国橋

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、お豊は後の名月に誘われるように、フラフラと両国橋の上へさ迷い出でました。世界の果てまでも、此儘行って了い