本郷 下田 三十三間堂 大阪 相生町 横川町 佐渡 江戸 長崎 下谷 深川 神田 日本橋 永代橋

横川町から本郷の丸山へ、割り切れない心持で辿りました。半弓の半九郎が、氣が

見ると、このお菊といふ嫁は、この五月に下田から嫁に來たばかり、里は豪家で、伊豆屋とは祖先が縁續き

江戸と下田では、あまり近いところではなく、何んか舊怨のある者があつ

殺された半九郎のことが氣になつてならない。三十三間堂を先にしよう」

中には大阪の陣以來、祖先傳來の浪人で箸にも棒にも掛らぬ手合が

「お役人樣、――相生町の佐奈屋のお孃さんが、こんなひどい目に逢ひました、どうぞ惡戯

平次は道順に無駄をしないやうに、川向うの相生町を第一にしました。

や菱餅で間に合はせろ、――ところで、これから横川町の伊豆屋と、本郷丸山の本田樣のところへ行くが、付き合つて見る

「俺は横川町の伊豆屋から、本郷丸山の本田樣まで廻つてみる」

横川町の伊豆屋は、かなりの呉服問屋で、主人の勘六は六十近い年輩、その

横川町から本郷の丸山へ、割り切れない心持で辿りました。半弓の半九郎が、

「佐渡へ行つて、お前の好きな黄金の汁を汲み出すのも惡くなからう。ところで

の川開きから、八月二十八日までの三月の間、江戸の歡樂と贅を此處に集めて、兩國の橋を中心に、この一帶

の見廻り同心より、この一介の岡つ引の方が、江戸の町人達の間に顏が賣れてゐたのです。

源之助は江戸の大町人らしい誇りで、昂然と言ひ切るのです。

江戸と下田では、あまり近いところではなく、何んか舊怨のある者

「それはもう、自慢でしたよ。若い頃長崎にゐて、唐土の人に年季を入れて教はつたさうで、四

お絹は、その頃御藏前中の人氣者で、下谷淺草中の若い男は、お絹を垣間見るのを、何よりの樂しみ

「下谷淺草の若い者で、お銀さんを知らなきや――男の耻だ

「深川の三十三間堂前に矢場を開いてゐた、半九郎ですよ」

に怪我をした女達を見舞つて、それから、深川の三十三間堂前の半九郎の家へも行つて見たい」

でも默つて平次の後に從ひました。明神下から深川まで、近い道ではありませんが、怪我をした三人の女

深川の三十三間堂は、京の三十三間堂を摸して造つたもので、維新近くまで通し矢

「深川三十三間堂前の、結改場を御存じありませんか」

くらゐですもの、私も負けん氣でやりましたが、深川まで通ふのが面倒臭くなつて、三月ほどで止してしまひましたが

「私は神田明神下の平次と申すものでございます。何にかお間違ひがあつたやう

日本橋のほかに、幾つかの見附は、その頃罪人曝場になり、死骸陳列

永代橋から兩國まで船、兩國の橋番所に顏を出すと、