銭形平次捕物控 085 瓢箪供養 / 野村胡堂
地名一覧
江戸
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――里にやられて十二三まで育った頃、江戸から迎いが来て引取られたのが、今の親父の横山町の店です」
「少しも覚えがありません、江戸へ来て始めて見た顔です。もっとも、露の家正吉という男には
浜松
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それはなくなっていました。二十七八年も前に、浜松で見た顔です」
「黙れッ、今から二十八年前、浜松の城下で、御用金三千両盗んだ大泥棒の片割れ、手前は般若の元吉だろう
、瓢々斎佐兵衛と駒三郎と正吉と元助の四人が、浜松の御用金三千両を盗んで高飛びし、四人で均等に分配して、別れ別れ
下谷
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平次はその晩下谷の松平豊後守上屋敷へもう一度行って留守居の役人に逢い、二十八年
向島
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酒を入れるより外に用事のない品だから、思い切って向島土手に埋めて供養塔を建てようという趣向で――」
「場所は向島の土手下、瓢箪塚を掘り荒らした前だ」
一方平次とガラッ八は、向島まで駆けて行く道々、先刻の会話を続けました。
二人はもう一度向島へ、――もう日は暮れかけております。
品川
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一応は調べられたのですが、これは講中のことで品川へ行って一と晩留守、家には暮から重病で寝ている女房
神田
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その晩、いざ神田へ引揚げようという時、
もう夜半過ぎの街を、神田の自分の家へ、二人は軽い心持で急ぎました。