奇談クラブ〔戦後版〕 10 暴君の死 / 野村胡堂

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大手門

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、町で隊伍を整えた盆踊は、一隊一隊と順序よく大手門を入り、桟敷の上に悠然と構えた大守の前に、手振り身振り面白く、

江戸

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は、徳川幕府の採った参観交代制と、大名の本妻を江戸に留めて置く一種の人質制でした。川柳に所謂「大名は一年置き

翌る年の春、参観交代で江戸へ出府することになった大膳正は、悪戯っ児が飽きた玩具を打ち壊すように

江戸の一年は、阿武隈大膳正にとっては、まことに窮屈な一年でし

だが、一たび江戸から解放されて、領内へ帰ると話は別です。早速三文字紋弥

、何と言っても草深い田舎から集めた美人で、一応江戸の遊里も見て来た大膳正が、これならばと札を落すように

の花形、娘形になっては、その可愛らしさで、江戸の千両役者にも類があるまいと言われた、二十歳の中村新八郎という若者

に変って、翌年の春の参観交代で、大膳正が江戸へ出府する時は、三文字紋弥の手を借りて、何んの未練

ほどの関心も持たず、その年の三月には早江戸の桜の下に、奥方の厳しい眼を逃れ乍ら、新らしい歓楽を追う大膳正

すれば、その代り夜の明けないうちに村々の訴人が江戸へ飛んで行って、殿様の悪政振りを龍の口に訴え出ますよ、―

ても、百姓町人が直ぐ幸せになるとは限るまい。江戸の若君の成人まで、此高塚蔵人として、決して百姓町人を泣かせるよう