下谷 長崎 上野 神田 向島

のあかりで見ると、斬られて居るのは、何んと下谷淺草一圓に蝮のやうに嫌はれて居る、山の宿の鐵といふ

娘を狙つて居るとも言ひますよ。倉賀屋は下谷で何番といふ大金持で、中田屋へも長崎屋へも、かなりの

への立派さ、住居の行屆いた調度など、さすが下谷で何番と言はれる伊達者だけのことはあります。

櫻を左手に眺めて大川を下り、宵のうちには下谷の店へ引揚げようといふ寸法、折から誂へたやうに櫻の梢に夕月

間もなく長崎庄六は、錢形平次の計らひで許され、此事件には到頭下手

「上野は筋の良い客が居るから、偶には小袖幕から呼込まれるやうな都合

花見は出來ませんよ、――ところで、その氣で上野へ出かけると、山下で大變なものに出逢はしたんで」

「神田の平次と八五郎が來たと言つてくれ」

里――に小僧三人、それだけの人數で、向島に花見船を出しました。

せて、晝少し過ぎに大川橋から漕ぎ上つた船が、向島の土手の賑ひを右手に眺めて歌ひ乍ら、踊り乍ら、そして飮み

「何處へ行くんだ。向島へ行つたところで船は空つぽだぜ」