八丁堀 江戸 両国 浜町 人形町

「大変なことが起りました。ちょいと親分に八丁堀までお出でになるように――と、笹野の旦那様のお言葉添えで

二人の子分――清次郎とガラッ八は、宙を飛んで八丁堀へ駆け付けました。

その晩、銭形の平次が八丁堀へ駆け付けた時は、笹野新三郎の役宅は上を下への大騒動でした

平次はフラリと八丁堀の役宅を出ました。人形町までは、若い平次の足では本当に一

「さア、これでよかろう。とにかく、あの八丁堀の組屋敷からお前を助けて来たんだ。俺はお前のためには恩人

「三人で手分けをして、八丁堀から両国まで、銭湯という銭湯を一軒ずつ歩いたんだ。どこの番台

いる倶梨伽羅紋々という言葉は、三代目中村歌右衛門が江戸に下って、両腕一パイに文身を描いて、倶梨伽羅太郎を演じてから

「お前も知ってるだろう。ひと頃江戸を荒らし廻った十二支組、元は弱い者いじめをする悪侍やならず者を懲らす

子分ガラッ八は、そんな無駄を言いながら、浜町河岸を両国の方へ歩いておりました。

「文身があるかということだよ、――実は今日両国の『種村』に“文身自慢の会”というのがあるんだ」

無駄を言ううちに、両国の橋詰、大弓場の裏の一郭の料理屋のうち、一番構えの大きい「種村」の入

「三人で手分けをして、八丁堀から両国まで、銭湯という銭湯を一軒ずつ歩いたんだ。どこの番台で聞いても、足の

平次と、その子分ガラッ八は、そんな無駄を言いながら、浜町河岸を両国の方へ歩いておりました。

ません。わっしの背中へ六文銭を描いてくれた、人形町の彫辰の顎を探ったら、大方女の住家の当りが付きましょう、御免

平次はフラリと八丁堀の役宅を出ました。人形町までは、若い平次の足では本当に一と走りですが、彫辰へ